マンションなどの不動産投資における修繕費と修繕費を抑える3つのポイント
不動産の賃貸人は、民法で賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負うことが定められています。
マンション投資家は賃貸人としての修繕義務が課せられていますので、修繕の知識も持っておくことが必要です。
また、修繕費は一律に固定額が生じるわけではなく、物件の選び方を意識するだけでもかなり抑えることができます。
では、マンション投資にはどのような修繕費がかかり、どのようにしたら修繕費を抑えることができるのでしょうか。
そこでこの記事では、マンション投資における修繕費や会計上の取り扱いと、修繕費を抑えるポイントについてご説明します。
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目次
マンション投資における修繕費の種類
マンション投資のおける修繕費については、大きく分けて「専有部で生じる修繕費」、「共用部で生じる大規模修繕費」の2種類があります。
それぞれについて確認していきましょう。
専有部で生じる修繕費
専有部で生じる修繕費
- 破損・損傷、寿命により故障した設備の交換等の修繕
- 入居者入替時の内装交換
- 空室対策リフォーム
1.破損・損傷、寿命により故障した設備の交換等の修繕
専有部では、入居者が通常の使用方法で使っていたにもかかわらず破損や損傷をしたものや、寿命により故障した設備の交換等の修繕費用が生じます。
これらの修繕は「事後保全」と呼ばれ、故障が生じてから行う修繕です。
具体的には、ドアノブが壊れた、エアコンが動かない、温水洗浄便座が壊れた等の事象が生じた際、修繕や交換の対応を行います。
器具や設備の交換が多いので、金額としては1ヵ所当たり5万円~10万円程度です。
2.入居者入替時の内装交換
専有部では、入居者入替時にクロスや床の張り替え工事を行うこともあります。
クロスの張り替え等は、壊れたから行うものではありません。
機能的には利用できる状態であっても、貸しやすくするために行う修繕をします。
クロスの張り替えは、概ね5~6年に1度程度の割合で行い、1部屋当たり5万円~10万円程度のイメージとなります。
3.空室対策リフォーム
専有部では、入居者が決まりにくくなると空室対策リフォームを行うこともあります。
空室対策は、何をどこまでやるかによって金額がかなり異なります。
ユニットバスの交換でも100万円~150万円程度は必要です。
フルリフォームをすると400万円~600万円くらいかかることもあります。
空室対策リフォームも、ほとんど空室は生じない物件であれば必要のない費用です。
一棟マンション投資の共用部で生じる大規模修繕費
次に、共有部で生じる大規模修繕について確認していきましょう。
区分マンションの場合は共用部の修繕は管理組合が行いますが、一棟マンションの場合は自分で行う必要があります。
共有部で生じる大規模修繕費
- 予防保全のための大規模修繕
- 空室対策リノベーション
1.予防保全のための大規模修繕
共用部は、一般的には破損が生じてからの対応ではなく、大きな損傷に至る前に対処する「予防保全」のための大規模修繕が基本です。
建物は、材料や機器によって劣化の進行が予測できるため、あらかじめ修繕計画を立てて予防的な措置を行っていきます。
大規模修繕は、主に築10年以降から5年刻みで該当部分のメンテナンスを行います。
築年数と修繕部位の関係を示すと下表の通りです。
築年数 | 修繕部位 |
---|---|
築10年目 | ・屋上アスファルト防水 ・各所シーリング(コーキング)の打ち替え ・サッシュの塗装 ・外構舗装部打ち替え ・排水設備配管交換 |
築15年目 | ・バルコニー・廊下等防水塗装 ・外壁塗装 ・インターフォン ・圧力給水ユニット |
築20年目 | ・屋上アスファルト防水 ・各所シーリング(コーキング)の打ち替え ・サッシュの塗装 ・外構舗装部打ち替え ・防災設備 ・給湯設備配管交換 ・排水設備配管交換 |
築25年目 | ・バルコニー・廊下等防水塗装 ・外壁塗装 ・給水設備配管交換 |
築30年目 | ・屋上アスファルト防水 ・バルコニー・廊下等防水塗装 ・各所シーリング(コーキング)の打ち替え ・サッシュの塗装 ・外構舗装部打ち替え ・受変電設備 ・電灯・盤・コンセント設備・通信設備 ・排水・衛生・ガス設備 |
それぞれの材料や機器の耐用年数は10年や15年、20年等であるため、工事項目は10年目、20年、30年目と年数を追うごとに増加し、共用部の大規模修繕費は築年数が増えるほど金額が大きくなっていきます。
2.空室対策リノベーション
一棟マンションでも、入居者が決まりにくくなるとマンション全体で空室対策リノベーションを行うことがあります。
エントランスの仕上げをグレードアップするような工事が一般的です。
空室対策リノベーションは、計画的に行う予防保全とは異なり、空室が少ない物件であれば不要となります。
貸主と借主の修繕費の費用負担について
次に、区分マンション投資における修繕費の考え方についてご説明します。
賃貸人に課せられる経常的な修繕費
室内の経年劣化や通常損耗への対応は、賃貸人が行うべき修繕となります。
また、次の入居者の確保を目的とるす修繕についても、賃貸人が行います。
具体的には、下記のような修繕が挙げられます。
賃貸人に課せられる経常的な修繕
- フローリングの色落ち
- 家具の設置による床のへこみ
- 設備の交換
- クロスの張り替え
- ハウスクリーニングや消毒
- 鍵の交換
なお、経常的ではありませんが、雨漏りや地震等でガラスが破損した場合の修繕も貸主負担が原則です。
退去時における賃借人の原状回復と賃貸人の修繕の区分
原状回復とは、借りていた物件を原状に復して明け渡すことですが、契約締結時と全く同じ状態にして返すという意味ではありません。
契約締結時から生じた経年劣化や通常損耗については賃貸人の修繕の区分です。
賃借人の負担となるのは、借主の故意・過失や善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用によって生じた損耗・破損の回復です。
例えばタバコによる床の焼け焦げやクロスの変色、引越し作業で生じた傷、結露を放置したために拡大したシミ等が賃借人の負担となります。
賃貸人または賃借人のどちらが修繕負担すべきかは、国土交通省の示す「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき判断することが一般的です。
修繕積立金の取り扱い
区分マンションの投資の場合、修繕積立金を支払い管理組合が共用部の修繕を行います。
投資家が直接共用部を修繕することはありません。
修繕積立金は、将来発生する共用部の修繕のための積立金であるため、本質的にはその部屋の費用ではないことになります。
ただし、一般的な修繕積立金であれば、確定申告で必要経費に計上することが可能です。
国税庁も、「賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い」にて明確な見解を示しています。
マンション投資における修繕費の会計上の取り扱い
個人がマンション投資を行うと、毎年、確定申告を行う必要があります。
修繕費は確定申告の中で必要経費となりますが、必要経費として計上できるものは原則として金額が20万円未満の工事費です。
20万円以上の工事を行った場合、その支出は「必要経費」ではなく「資本的支出」となります。
資本的支出とは、新たに資産を構築したことを意味する支出です。
資本的支出は、一旦、資産となり、その後、減価償却費という形で耐用年数内に少しずつ経費として落ちていく処理がなされます。
資本的支出の会計処理としては、建物投資をした際、建築費が徐々に減価償却で費用化されていくのと同じです。
一ヵ所の工事で20万円以上の支払となった場合、原則として全額をその期に必要経費とすることができません。
そのため、修繕費は20万円未満で抑えることが節税のコツとなります。
マンション投資で修繕費を抑える3つのポイント
この章では、マンション投資で修繕費を抑える3つのポイントをご紹介します。
マンション投資で修繕費を抑える3つのポイント
- 築年数の浅い物件に投資する
- 空室リスクの低い物件に投資する
- 入居者が長く住んでくれるかを意識する
1.築年数の浅い物件に投資する
修繕費を抑えるには築年数の浅い物件に投資することが鉄則です。
建物は築年数が古くなるほど損傷も多く発生し、設備も寿命を迎えることから修繕費が増えていきます。
買い替えを想定している場合も、少なくとも5年超の保有期間がないと売却時の税金が高くなります。
よって、一度投資をしたら、少なくとも6~7年程度の期間は保有すること前提に物件の築年数を選ぶことが必要です。
例えば築2~3年目の物件を購入し、築10年になる前に他の物件に買い替えれば、修繕費をかなり抑えることができます。
マンション投資は、中長期に渡って物件を保有するのが通常であるため、築年数が古い物件を検討する際は修繕費についても想定することが必要です。
2.空室リスクの低い物件に投資する
修繕費を抑えるには空室リスクの低い物件に投資することもポイントです。
空室がほとんど生じないような物件は、空室対策リフォームを行う必要がないためです。
空室対策リフォームは実施したとしても確実に効果がでるとは限らないため、無駄な支出に終わってしまうこともあります。
投資リスクを伴う空室対策リフォームは実施の判断も難しいことから、できれば空室対策リフォームの必要性のない物件を選ぶべきです。
空室リスクの低い物件とは、「立地が良いこと」等の条件を備えたいわゆる優良物件になります。
好立地であることは、修繕リスクも抑えることに通じますので、マンション投資はできる限り立地の良い優良物件を選ぶようにしましょう。
3.入居者が長く住んでくれるかを意識する
投資用マンションは、入居者が長く住んでくれるほど入居者入替時の修繕の機会が減ります。
そのため、1~2年でコロコロと入居者が入れ替わる物件よりは、一度入ってくれたら5~6年借りてもらえるような物件に投資した方が修繕費は安くなります。
入居者の入れ替えが少ないと、修繕費だけでなく、入居者入替時の仲介手数料や広告費も削減することに繋がります。
入居者に長く住んでもらうには、管理人が常駐していたり、共用部の清掃が常に行き届いていると良いでしょう。
また、共用部に季節ごとの飾りつけがある物件なども入居者の居心地も向上し、入居者が長く住む傾向があります。
入居者が長く住む物件は、修繕費や仲介手数料を削減できるため、物件は入居者が長く住んでくれるかも意識して選ぶことがポイントです。
ファミリータイプのオーナーチェンジ物件は売りづらい!?
一般的に、ファミリータイプのオーナーチェンジ物件(いわゆる、投資用物件)は、ワンルームに比べて利回りが低くなりやすいため「売りづらい」と言われています。
その理由は、専有面積と賃料が必ずしも正比例にならないことが関係しています。
例えば、それぞれ専有面積が20㎡と60㎡の2つの部屋があったとします。
面積の差は3倍ですが、賃料も同じく3倍の価格で成約するのは難しいため、専有面積が広いほど、利回りが低くなる傾向にあるのです。
また、売りづらくなる要因は利回りの低さだけではありません。
オーナーチェンジ物件は基本的に「投資用商品」として取引されるので、住宅ローンではなく不動産投資ローンの利用が一般的です。
不動産投資ローンは、「収益性」が融資基準の一つになっているので、利回りが低すぎたり築年数が古いと、「収益性」が低いと判断されて融資を受けられない場合があります。
このような場合は、現金で購入できる人に買い手が限定されてしまいます。
つまり、利回りの低さだけではなく、融資の受けづらさによっても、そのオーナーチェンジ物件は売りづらくなってしまいます。
「売りづらい」オーナーチェンジ物件はスター・マイカでお得に売却
今、「売りづらい」物件を所有していて、売却を検討している方には、「買取」がおすすめです。
ここでは、スター・マイカの買取サービスについて紹介します。
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スター・マイカの買取の5つのお得なポイント
1.リノベーション後の再販が目的なので、低利回り・築古でも買取可能
スター・マイカの買取の目的は、リノベーションを施してから再販をすることです。
投資対象としての利回りだけではなく、リノベーションマンションとしてのポテンシャルを重視しているので、低利回りでも買取ることができます。
加えて、リノベーションを施すことが前提にあるため、築年が古かったり、室内の状態が悪い物件でも買取ることができます。
2.仲介手数料がかからないので売却費用の節約ができる
仲介での売却は、仲介手数料がかかりますが、買取は不動産会社が直接買取るので、仲介手数料がかかりません。
スター・マイカの買取サービスも、仲介会社が間に入らないので、売却にかかる仲介手数料を節約することができます。
3.買取単価が上昇傾向なので、今は高値で売却できる可能性が高い
近年、不動産の成約価格は上昇しており、活況を呈しています。
スター・マイカの査定は、市場の動向をいち早く捉えて価格に反映させています。
そのため、買取価格も年々上昇傾向にあります。
実際に、スター・マイカの買取価格は直近の約2年間で約17%上昇していて、まさに今が売りどきと言えます。
4.内見・現地立会不要で売却の手間がかからない
スター・マイカでオーナーチェンジ物件を売却する場合、内見は不要ですので、賃借人に知られることなく査定を行うことが可能です。
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まとめ
以上、マンション投資における修繕費ついてご説明しました。
マンション投資の修繕費は、大きく専有部の修繕と共用部の修繕の2つに分かれます。
区分マンション投資においては、賃貸人は専有部の修繕を中心に行うことになります。
個人が行うマンション投資における修繕費に関しては、20万円未満が費用、20万円以上が資本的支出という区分けです。
マンション投資における修繕費は、選ぶ物件で大きく異なってきますので、できるだけ修繕費の発生しない物件を選ぶことが重要です。
また、修繕の費用や手間を考えると、買取の利用を検討してみるのもよいでしょう。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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