法人でもリースバックは使える?事業用リースバックについて
リースバックは、日本ではバブル崩壊後に大企業を中心に多く利用されていました。
昨今は、個人向けのリースバック商品が増えてきましたが、元々は法人が多く利用していたサービスです。
法人は収益も急激に回復して不動産を買い戻せるケースも多いため、個人よりもリースバックに適しています。
そこで今回の記事では「法人のリースバック」について、法人のリースバック活用例や法人がリースバックを利用するメリットなどについて詳しく解説しています。
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目次
法人のリースバックとは
リースバックとは、「セールス・アンド・リース・バック」の略です。
保有している不動産を「売却(セール)」し、その後は「賃貸(リース)」してから最後に「買戻し(バック)」するサービスです。
最近では、個人向けのリースバック商品も増えてきましたが、本来、リースバックは法人向けのサービスです。
なぜリースバックが法人向けかというと、法人は状況によっては急激に業績が回復することもあり、「買戻し(バック)」ができるケースが多いからです。
個人でも買戻しのオプションは付けられますが、買い戻されるケースは少ないです。
個人の場合、リースバックは経済的に困窮している人や年金生活者が利用することがよくあります。
個人のリースバック利用者は、急激に収入が増えるといったことはほとんどなく、買い戻せないことが一般的です。
そのため、個人向けのリースバック商品では、「バック」の部分がほとんど利用されず、実質的には「セールス」と「リース」だけに留まっています。
一方で、法人の場合、当面の間だけ資金繰りが苦しいといったことも多く、例えばヒット商品が出たり、大口の取引先が見つかったりすると、急激に収益力が回復することがあります。
これまで説明した不動産を買い戻せるくらい収益力が回復することもあり、「買戻し(バック)」を実行できるのです。
法人は、不動産を買い戻せば家賃の支払いがなくなるため、さらに収益力はアップします。
利益の追及が目的の法人には、不動産を買い戻す積極的な理由があります。
法人は「セールス」と「リース」だけでなく「バック」もよく行われることから本来のサービスのメリットを十分に享受でき、個人よりもリースバックに適しているのです。
リースバックの概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
次に法人でもリースバックが使えるのかについて見ていきましょう。
法人でもリースバックが使えるのか
リースバックは、法人でも利用できます。
リースバックが法人に適している理由としては、第二の資金調達手段となるからです。
通常、一般的な法人であれば銀行から借入を行って資金調達を行います。
銀行からまだ融資を受けられるようであれば、無理にリースバックを利用する必要はありません。
しかしながら、法人の場合、業績悪化を理由に銀行から融資を受けられないこともあります。
銀行から融資を受けられない法人にとって、リースバックはまさに「助け舟」となる資金調達手段です。
リースバックは「融資」ではなく、「売買」であることが重要なポイントとなります。
融資を受けるには審査に通らなければなりませんが、売買には銀行のような審査はありません。
リースバック会社が購入できる不動産であれば、会社の財務内容が悪くてもリースバックを利用できるのです。
リースバックは会社の業績とは無関係に利用できる資金調達手段であることから、銀行から融資を受けられない法人に特におすすめといえます。
また、リースバック会社は、売買契約をしたらすぐに売買代金を入金してくれます。
銀行の融資のように審査に時間がかかったり、経営計画書を提出したりする必要もないため、手続きも簡単です。
売主として売買契約書に押印をすれば、すぐに運転資金を手にすることができます。
融資のように「枠」があるわけではないので、不動産をたくさん持っていれば多くの資金を得ることが可能です。
ただし、リースバックでは、売却後に家賃が発生します。
そのため、短期融資よりも条件が悪くなる点がデメリットです。
法人が資金繰りのために融資を受ける際は、元本を一度に返済する短期融資が適しています。
短期融資は、住宅ローンのように毎月元本返済があるわけではないので、当座の資金繰りに有利なローンです。
しかしながら、リースバックでは売却資金を得た直後から家賃の支払いが発生します。
短期融資とは異なり、毎月、キャッシュがどんどん出ていくため、家賃は払える程度の収益力を維持しておく必要があります。
銀行から短期融資を受けられないような法人は、既に財務状況が悪化していることが多いです。
リースバックを行う場合には、毎月の家賃の支払いに耐えられるかも十分に検討する必要があります。
ここまで法人のリースバックの概要について見てきましたが、次に法人のリースバック活用例についてお伝えします。
法人のリースバックの活用例
法人のリースバックの活用例は主に以下の通りです。
法人のリースバックの活用例
- ビルの売却
- 店舗や工場や作業場などの売却
- 社員寮の売却
- 自宅兼事務所の売却
- 保有マンションや土地などの売却
ビルの売却
法人がリースバックを行う際、売却対象となることが多いのが本社ビルです。
本社ビルは、立地が良い場所にあることも多く、資産価値も高いことからリースバックによって多くの資金を得やすくなっています。
バブル崩壊後に大企業が行ったリースバックでも、本社ビルをリースバックした例が多く見られました。
ここ数年にあった大企業のリースバック例では、エイベックス本社ビルや電通本社ビルなどの売却があります。
店舗や工場や作業場などの売却
店舗や工場や作業場などもリースバックとして使われることもあります。
対象とする資産は、会社が必要とする資金や、営業戦略上の拠点の重要性などによっても異なります。
どの資産を対象とするかは、必要資金や家賃なども含めて総合的に判断することがポイントです。
社員寮の売却
法人で社員寮を持っている場合もリースバックの対象となります。
社員寮は社員から一定の賃料収入を得ていることから、リースバック会社へ支払う家賃負担を軽くできるという点がメリットです。
自宅兼事務所の売却
法人が社長の自宅兼事務所を保有している場合には、リースバックとすることができます。
事務所としての重要度が低ければ、万が一、買い戻せずに手放すことになっても営業上のダメージは少ないです。
保有マンションや土地などの売却
法人がマンションや土地を持っていれば、リースバックの対象とすることは考えられます。
ただし、賃貸マンションのように本業に影響しない不動産で、かつ、賃料収入もある不動産であれば、リースバックをせずにそのまま単純に売った方が高く売れます。
また、不要な土地も単純に売った方が高く売れるため、資金調達上は有利です。
単純売却なら、その後の家賃負担が発生しません。
リースバックは、手放したくない不動産を利用して資金調達ができる点がメリットです。
不要な資産であれば、単純売却と比較して有利な方を選ぶことをおすすめします。
ここまで法人のリースバック利用例を見てきましたが、次に法人でリースバックを利用するメリットについてお伝えします。
法人でリースバックを利用するメリット
法人でリースバックを利用するメリットは以下の通りです。
法人でリースバックを利用するメリット
- 売却後も住所変更せずに事業運営できる
- 財務状況のオフバランス化
- キャッシュフローの改善
売却後も住所変更せずに事業運営できる
売却後も住所変更せずに事業運営できる点がメリットです。
営業拠点を動かす必要がないため、事業運営がしづらくなることもありません。
従業員もそのまま通勤できますし、顧客も今まで通り来社してくれます。
企業が営業拠点を変更するというのは、面倒なことが多く、顧客や仕入れ先などに全て案内し、名刺なども刷り直す必要があります。
リースバックであれば表面上は今まで通りとなるため、住所変更などの負担をかけることなく、営業活動を継続できます。
財務状況のオフバランス化
財務状況のオフバランス化ができる点もメリットです。
- オフバランス
- オフバランスとは、事業運営に活用している資産・負債でありながらも、貸借対照表(バランスシート)に計上されないことです。
財務業況を改善したい会社の場合、不動産を売却して借入金を一度に返済していきます。
貸借対照表上の資産は減りますが、負債も減る点がメリットです。
借入金が減ることで、財務内容が改善し、倒産リスクを下げることができます。
キャッシュフローの改善
法人がリースバックを利用する場合には、キャッシュフローの改善が目的であることも多いです。
法人のキャッシュフローは、売掛金と買掛金を考慮する必要があります。
- 売掛金
- 売掛金とは、顧客からの入金待ちの売上のことです。
- 買掛金
- 買掛金とは、支払期日が到来前の支払先に払う費用のことです。
法人のキャッシュフローは、売掛金が多く、買掛金が少ないと悪化します。
売掛金が多いということは、入金待ちのお金が多いということです。
買掛金が少ないということは、支払いを止めておけるお金が少ないということであり、企業の中からどんどんお金が流れている状況になります。
入金が少ないのに支出が多いと、現金が手元から減ってしまいキャッシュフローが悪化してしまうのです。
手形取引の多い製造業や、工事完成後に入金がされる建設業では、入金待ちの売掛金が膨らみがちであり、キャッシュフローが悪化しやすくなります。
例えば、建設業で大きな工事を受注した法人は、完成までに時間がかかり入金が遅れますが、工事期間中に下請企業への支払が次々と発生します。
キャッシュを十分に蓄えていない会社が、急に大型工事を受注すると、売掛金と買掛金のバランスが悪くなり、キャッシュフローが悪化してしまうことが多いです。
リースバックを利用すれば、売却代金によって一時的にまとまった資金を得られます。
下請け業者や仕入れ先などの支払いを済ませ、顧客からの大きな入金があれば、再び売却した不動産を買い戻せる場合もあります。
手元にキャッシュがなく、かつ、短期融資も利用できない場合、リースバックによる資金調達が効果的です。
次に法人でリースバックを利用するデメリットについて見ていきましょう。
法人でリースバックを利用するデメリット
法人でリースバックを利用するデメリットは以下の通りです。
法人でリースバックを利用するデメリット
- 賃料が周辺相場より高くなることが多い
- 買戻し時の費用が高くなることが多い
賃料が周辺相場より高くなることが多い
リースバックの家賃は、リースバックの売却価格に一定料率を乗じる形で決まります。
計算式を示すと、以下の通りです。
リースバックの年間家賃 = リースバックの売却価格 × 6%~13%
月額家賃 = リースバックの年間家賃 ÷ 12ヶ月
リースバックの家賃は、周辺の家賃相場とは関係がなく、リースバックの売却価格に連動して決まる点が特徴です。
よって、売却金額によっては周辺の家賃相場よりも高くなることもあり得ます。
ただし、リースバックの売却価格は売却相場よりも安いことが一般的です。
リースバックの売却価格の決まり方は、以下のようになっています。
リースバックの売却価格 = 市場価格 × 70%~90%
リースバックは売却価格そのものが市場価格よりも安いことから、賃料も連動して安くなることも多いです。
リースバックの買取価格と家賃相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
買戻し時の費用が高くなることが多い
法人がリースバックを利用する場合、売却時は景気が悪く、買戻し時は景気が良いときが多いです。
そのため、買戻し時の価格が高くなってしまうこともあります。
リースバックの買戻し価格の相場は、概ね以下のような水準です。
買戻し価格 = リースバックの売却価格 × 1.1~1.3
リースバックの売却価格は市場価格の1~3割程度安く、買戻し価格はリースバックの売却価格の1.1~1.3倍であることから、買戻し価格は市場価格と同水準ということです。
そのため、景気が良いときに買い戻すと、市場価格が高いことから買戻し価格が高くなってしまうことがあります。
買戻し価格を高くさせないためには、あらかじめ買戻し価格の値段を定める契約をすることが重要です。
買戻し価格が明確になっていれば、計画的に貯蓄をし、将来的に買戻しをすることができます。
リースバックの買戻しについては、以下の記事で詳しく解説しています。
最後にスター・マイカのマンションリースバックについて見ていきましょう。
法人でも利用できるスター・マイカのマンションリースバック
ここまで、リースバックの法人利用について解説してきましたが、最後にスター・マイカが提供するマンションリースバックについてお伝えします。
スター・マイカは、過去10年以上にわたるリースバック取引実績と、豊富な賃貸管理実績を持っており、東証プライム上場企業(2975)の「スター・マイカ・ホールディングス」を親会社としています。
さらに、首都圏・関東圏を中心に中古マンション買取に関する豊富な経験を持ち、2022年現在で3000室を超える不動産管理ノウハウを有しています。
そこで最後に、スター・マイカの「マンションリースバック」についてご紹介します。
スター・マイカのリースバックのポイント
- 中古マンション保有戸数業界No.1だから、他社にはない柔軟な賃料と賃貸借期間で契約が可能です。中古マンション事業を営む上場企業各社の最新決算情報(2023年11月期末時点)に基づく当社調べによります。
- マンション専門に10年以上にわたる豊富な実績があります。
- 警備会社と連携した高齢者向け見守りサービスも提案しています。
スター・マイカは、リノベーションマンションの販売とともに、たくさんの賃貸マンションを保有することで安定したバランスの良い収益を得ています。
そのため、短期間のリースバックのご相談にも、長期間のご相談にも最適なご提案が可能です。
マンションでリースバックをするなら、マンション専門のスター・マイカへお任せください。
まずは、査定依頼フォームにお問い合わせいただければ、賃料と買取価格をご提示いたします。
スター・マイカでは、普通借家契約や定期借家契約など、お客様のご希望を可能な限り反映します。
リースバックに関するご質問もお気軽にお問い合わせください。
まとめ
法人のリースバックについて解説してきました。
法人でもリースバックを利用することは可能です。
法人のリースバックの活用例としては、「ビルの売却」や「社員寮の売却」等があります。
法人でリースバックを利用した場合、「財務状況のオフバランス化」や「キャッシュフローの改善」ができる点がメリットですが、一方で「賃料が周辺相場より高くなる」というデメリットが生じる場合もあるので、慎重に利用検討しましょう。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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