持ち家があっても生活保護は受けられる?自宅をリースバックすべきケース
生活保護の受給を検討している人の中には、リースバックについて調べている人も多いようです。
リースバック後の家賃や住宅ローン残額などの条件によりますが、リースバックを行うことで生活保護を受けられるケースもあります。
一方で、生活保護を受けるために、自宅は必ずしも絶対売却しなければならないものではありません。よって、リースバックは慎重に検討することも必要です。
そこで今回の記事では「リースバックと生活保護」について詳しく解説します。
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目次
リースバックとは?仕組みについて
- リースバック
- リースバックとは、保有している不動産を売却し、その不動産を借りることでそのまま不動産を利用し続けることができる資金調達手段のことです。
対象となる不動産が自宅であれば、自宅をリースバック会社に売却し、その後、リースバック会社と賃貸借契約を結び、家賃を払うことで今の家に住み続けることができます。
リースバックは、本質的には今の家を売って賃貸物件に引っ越すことと同じです。
ただし、リースバックでは売った家がそのまま賃貸物件になることから、引っ越さずに済むメリットがあります。
また、リースバックは「融資」ではなく「売却」です。取引の相手方は銀行ではなくリースバック会社となります。
収入が少なく、融資が受けられないような人でも、売却できる不動産を保有していればリースバックを利用できることが特徴です。
リースバックの売却価格は、市場価格の70%〜90%となります。
リースバックの売却価格 = 市場価格 × 70%~90%
都市部の条件の良い物件なら市場価格の90%程度、郊外の条件の悪い物件なら市場価格の70%程度となります。
一方で、売却後に支払う家賃は、リースバックの売却価格に一定料率を乗じる形で決まるのが特徴です。
リースバック利用時の家賃の計算式は、以下の通りです。
リースバックの年間家賃 = リースバックの売却価格 × 6%~13%
月額家賃 = リースバックの年間家賃 ÷ 12ヶ月
都市部の条件の良い物件なら6%程度、郊外の条件の悪い物件なら13%程度です。
リースバックの家賃は、売却価格に一定率を乗じて決まることから、「売却価格が安くなるほど家賃も安くなる」という特徴があります。
よって、売却後の家賃を安く抑えたい場合には、売却価格を安く抑えるというのが一つの方法です。
リースバックの概要や買取価格の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
次に生活保護の概要について見ていきましょう。
生活保護とは?働けない人を支援する制度
厚生労働省によると、生活保護の定義は以下の通りです。
- 生活保護
- 生活保護とは、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」のことです。
生活保護は、あらゆる手を尽くしても最低限度の生活を維持できない人に対して、理由の如何を問わず、国が生活保護費を支給する制度となります。
「あらゆる手」とは、資産の活用や能力の活用、年金や手当の給付、親族等からの援助等のことです。
能力の活用とは、主には働けることを指し、働くことが可能な人は労働することを指導されます。
逆に言えば、能力を活用できない人、つまり働けない人は支援を受けられる可能性がある制度となります。
ここまで生活保護の概要について見てきましたが、次に生活保護で受給できる金額について見ていきましょう。
生活保護で受給できる金額
生活保護で受給される金額は、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が生活保護費として支給されます。
支給される生活保護費 = 最低生活費 - 年金・手当等の収入
最低生活費は、住んでいる地域や世帯の構成などにより異なります。
厚生労働省によると、最低生活費の査定根拠に用いる生活扶助基準額(2022年4月1日現在)は、以下の通りです。
区分 | 東京都区部等 | 地方郡部等 |
---|---|---|
3人世帯(33歳、29歳、4歳) | 158,760円 | 139,630円 |
高齢者単身世帯(68歳) | 77,980円 | 66,300円 |
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) | 121,480円 | 106,350円 |
母子世帯(30歳、4歳、2歳) | 190,550円 | 168,360円 |
- 出典:厚生労働省「生活保護制度」
- 生活扶助基準
- 生活扶助基準とは、食費、被服費、光熱水費等に対応する額のことです。
必要に応じて、生活扶助の他に住宅扶助や医療扶助などが支給されます。
次に生活保護の扶助種類について見ていきましょう。
生活保護の扶助種類
生活保護の扶助種類は以下の通りです。
生活保護の扶助種類
- 生活扶助
- 住宅扶助
- 教育扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
生活扶助
生活扶助とは、食費や被服費や光熱費などのことです。
基準額は、年齢別に算定される「食費等の個人的費用」と、世帯人員別に算定される「光熱水費等の世帯共通的費用」の合計額となります。
母子家庭などの特定世帯には加算があります。
住宅扶助
住宅扶助とは、アパート等の家賃のことです。一定の範囲内で実費が支給されます。
教育扶助
教育扶助とは、義務教育を受けるために必要な学用品費のことです。定められた基準額が支給されます。
医療扶助
医療扶助とは、医療サービスの費用のことです。
費用は直接医療機関へ支払われ、本人負担がなくなることになります。
介護扶助
介護扶助とは、介護サービスの費用のことです。
費用は直接介護事業者へ支払われ、本人負担がなくなることになります。
出産扶助
出産扶助とは、出産扶助のことです。定められた範囲内で実費が支給されます。
生業扶助
生業扶助とは、就労に必要な技能の修得等にかかる費用のことです。
定められた範囲内で実費が支給されます。
葬祭扶助
葬祭扶助とは、葬祭費用のことです。定められた範囲内で実費が支給されます。
ここまで生活保護について見てきましたが、次にリースバック利用後の生活保護受給について見ていきましょう。
リースバックで自宅を売却した後に生活保護を受けられる?
結論からすると、リースバックを利用すれば必ず生活保護を受けられるというものではありません。
自宅を保有している人でも、リースバックを利用しなくても生活保護を受けられる場合もありますし、リースバックを利用することで生活保護を受けられる場合もあります。
これまで説明したように、生活保護を受けるには、あらゆる手を尽くしても最低限の生活を維持できないことが条件でした。
例えば、親族等から援助を受けることができる場合は、親族の援助が優先され保護を受けることができません。
ここで、生活保護を受けられる前提の一つに「資産を活用していること」があります。
預貯金や、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却して生活費に充てていることが前提条件です。
よって、「生活に利用されていない土地・家屋等」があれば売却が求められます。
自宅は生活に利用している不動産であることから、生活保護を受けるために必ずしも売却を求められるものではありません。
よって、自宅をリースバックしなくても、生活保護を受けられるケースがあります。
一方で、ここでいう自宅とは、あくまでも標準的な物件を指すのであり、例えば豪邸に住んでいるようなケースでは生活に利用されていない部分も含まれる不動産と解されます。
そのため、豪邸のような自宅は売却を指導されることがあり、リースバックも売却の一つであることからリースバックによって生活保護が受けられる可能性が出てきます。
ただし、豪邸を売却して多額の資金を得た場合には、その資金を生活費に利用できることになり生活保護は受けられなくなります。
それに対して、豪邸の住宅ローンが残っており、売却によって豪邸の住宅ローンを一括返済して預金がなくなったケースでは、生活保護を受けられる可能性が出てきます。
ここまでリースバック利用後に生活保護を受給できるかについて見てみましたが、次に改めて生活保護を受給するための条件について見ていきましょう。
生活保護を受給するための条件
生活保護を受給するための条件について解説します。
要件は各市区町村によって若干異なりますので、利用する際には各市町村の生活保護に関するサイトなどで確認するようにしてください。
生活保護を受給するための条件
- 世帯収入が最低生活費以下であること
- 資産・財産を保有していないこと
- 借金がないこと
- 援助してくれる家族・親族がいないこと
- 生活保護以外の制度が活用できないこと
- 病気やケガで働くのが難しいこと
世帯収入が最低生活費以下であること
生活保護を受けるには、世帯収入が最低生活費を下回っていることが要件です。
- 最低生活費
- 最低生活費とは、生活扶助や住宅扶助、教育扶助、医療扶助等のうち、生活に必要なものを足したものとなります。
資産・財産を保有していないこと
誤解が多い生活保護の要件の一つに「資産・財産を保有していないこと」があります。
自宅も資産の一つですので、「持ち家の人は生活保護を受けられないのではないか?」と思っている人も多いようです。
しかしながら、ここでいう資産とは「生活に利用されていない土地・家屋等」のことを指し、自宅は持っていても構わないということになります。
生活保護を受給するためにリースバックを選択する必要はありません。
そのため、まずは自宅を持っている状態で、役所に生活保護の相談をしに行くことをおすすめします。
ただし、自宅を持っている場合でも、例えば豪邸のように標準よりも大きな自宅を持っているケースでは、売却を指導されることがあります。
借金がないこと
借金の有無は、生活保護の要件ではありません。
住宅ローンの借金があっても、その他の要件を満たしていれば受給はできます。
ただし、生活保護費を住宅ローンの返済に充てることは原則として認められていないため、生活保護費を借金返済に充てているような状況が発覚すると、不正受給とみなされ生活保護が取り消されることがあります。
援助してくれる家族・親族がいないこと
援助してくれる家族・親族がいないことも要件となります。
親族に経済的なゆとりがある人がいる場合には、その人から援助を受けるように指導されます。
親族からの援助が得られれば、生活保護は受けられなくなります。
生活保護以外の制度が活用できないこと
生活保護以外の制度としては、例えば生活福祉資金や生活困窮者自立支援制度といったものがあります。
生活保護を申請する前に、これらの制度を利用できないかを検討する必要があります。
要件を満たさず、生活保護以外の制度が利用できないと判明した場合には、生活保護を利用できる可能性が出てきます。
病気やケガで働くのが難しいこと
生活保護を受ける要件として、能力の活用ができないことがあります。
ここでいう能力とは、働ける能力のことです。
病気やケガで働けない場合には、生活保護を受けられる可能性があります。
次にリースバック後に生活保護を受給する時の注意点について見ていきましょう。
リースバック後に生活保護を受給する時の注意点
生活保護を受けるために、自宅の売却は絶対ではありません。
ただし、豪邸のような自宅の場合、売却を指導されることがあります。
ここでは、自宅をリースバックした場合に生活保護を受給する時の注意点を解説します。
リースバック後に生活保護を受給する時の注意点
- 売却益がある状態だと生活保護受給は難しい
- リースバック後の賃料が高いと承認不可になることが多い
- 売却金で住宅ローン返済ができなかった場合も受給は難しい
売却益がある状態だと生活保護受給は難しい
生活保護を受ける前に求められる資産の活用とは、その不動産を売って生活資金を得るということです。
リースバックによって、まとまった一時金が得られた場合には、そのお金を生活費に充てられることになり、生活保護は受けられなくなります。
リースバック後に生活保護を受けられるケースとしては、売却資金を住宅ローンの一括返済に充て、余剰金が発生しないケースです。
リースバック後の賃料が高いと承認不可になることが多い
家賃も高いという理由だけで生活保護が必ずしも受けられなくなるというわけではありません。
家賃に関しては、地域によって住宅扶助の上限額が定められており、この上限額を超える保護費は受けられないということになります。
ただし、一部の自治体では、家賃が高過ぎる物件に住んでいると、別の物件に引っ越すことを指導されるケースがあるようです。
リースバックで生活保護を受ける場合には、事前に家賃の設定が適正であるかを自治体に確認しておくことをおすすめします。
売却金で住宅ローン返済ができなかった場合も受給は難しい
売却金で住宅ローン返済しきれない場合とは、任意売却が想定されるケースです。
任意売却とは、住宅ローン残債が売却額を上回っている場合に債権者の合意を得て行う売却方法となります。
任意売却では、売却後に残った残債は返済することが必要です。
そのため、売却で住宅ローンを返済しきれなかった場合には、借金がある状態で生活保護を申請する必要があります。
借金の有無は、必ずしも生活保護の要件ではありませんでした。
ただし、生活保護費を借金の返済に充てれば、不正受給とみなされてしまいます。生活保護費を借金の返済に充てていないということを立証するのは難しいです。
よって、借金が残っている状態だと、不正受給とみなされる可能性が高く、生活保護を受給できる可能性は低くなります。
次にリースバックでの自宅売却後の生活保護以外の選択肢について見ていきましょう。
リースバックでの自宅売却後の生活保護以外の選択肢
リースバックでの自宅売却後の生活保護以外の選択肢は主に以下の通りです。
リースバックでの自宅売却後の生活保護以外の選択肢
- 生活困窮者自立支援制度の利用
- 売却益があれば生活費に充てる
- 障害年金の利用を検討する
生活困窮者自立支援制度の利用
生活保護以外の選択肢としては、生活困窮者自立支援制度があります。
- 生活困窮者自立支援制度
- 生活困窮者自立支援制度とは、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある人に対して、個々の状況に応じた支援を行い、自立の促進を図る制度のことです。
所得が一定水準以下の人に、原則3ヶ月間の給付金が支給されます。
売却益があれば生活費に充てる
リースバックによって売却益が出れば、生活費に充てることになります。
リースバックは売却価格が市場価格よりも安くなってしまうため、特に今の家にこだわりがない人は、リースバックを利用せず、普通に売った方が多くの現金を得られる可能性は高いです。
豪邸のように自宅を売らなければならない人は、「リースバックにすべきか」または「単純売却にすべきか」を慎重に判断することをおすすめします。
障害年金の利用を検討する
- 障害年金
- 障害年金とは、病気やケガなどで、日常生活に支障が生じた場合や今まで通りに働くことが難しくなった場合などに、一定の条件を満たしていればもらうことができる年金のことです。
20歳から65歳までの人が対象であり、現役世代がもらえる公的年金になります。
うつ病や統合失調症等の精神疾患、ペースメーカーや人工関節を体に入れた人、人工透析を受けている人など幅広い障害を対象にしている点が特徴です。
ここまでリースバックと生活保護について詳しく解説してきましたが、最後にスター・マイカのマンションリースバックについて見ていきましょう。
スター・マイカのマンションリースバック
スター・マイカは、過去10年以上にわたるリースバック取引実績と、豊富な賃貸管理実績を持っており、東証プライム上場企業(2975)の「スター・マイカ・ホールディングス」を親会社としています。
さらに、首都圏・関東圏を中心に中古マンション買取に関する豊富な経験を持ち、2022年現在で3000室を超える不動産管理ノウハウを有しています。
次に、スター・マイカの「マンションリースバック」についてご紹介します。
スター・マイカのリースバックのポイント
- 中古マンション保有戸数業界No.1だから、他社にはない柔軟な賃料と賃貸借期間で契約が可能です。中古マンション事業を営む上場企業各社の最新決算情報(2023年11月期末時点)に基づく当社調べによります。
- マンション専門に10年以上にわたる豊富な実績があります。
- 警備会社と連携した高齢者向け見守りサービスも提案しています。
スター・マイカは、リノベーションマンションの販売とともに、たくさんの賃貸マンションを保有することで安定したバランスの良い収益を得ています。
そのため、短期間のリースバックのご相談にも、長期間のご相談にも最適なご提案が可能です。
マンションでリースバックをするなら、マンション専門のスター・マイカへお任せください。
まずは、査定依頼フォームにお問い合わせいただければ、賃料と買取価格をご提示いたします。
スター・マイカでは、普通借家契約や定期借家契約など、お客様のご希望を可能な限り反映します。
リースバックに関するご質問もお気軽にお問い合わせください。
リースバックと生活保護でよくある質問
リースバックと生活保護でよくある質問について解説します。
戸建てをリースバックで売却後に生活保護を受けられる?
生活に使っていない戸建てや、豪邸であれば生活保護を受けるために売却の必要性が出てきます。
一方で、一般的な規模の自宅であれば、売却は指導されずに生活保護を受給できる可能性は十分にあります。
売却後、余剰金が発生しない場合には、生活保護が受けられる可能性がでてきます。
マンションをリースバックで売却後に生活保護を受けられる?
生活に使っていないマンションや、高級マンションであれば生活保護を受けるために売却の必要性が出てきます。
一方で、一般的な規模の自宅マンションであれば、売却は指導されずに生活保護を受給できる可能性は十分にあります。
売却によってローンを完済し、余剰金が発生しないような場合には、生活保護が受けられる可能性がでてきます。
まとめ
リースバックと生活保護について解説してきました。
生活保護を受けるには、必ずしも自宅の売却は必須ではないことから、リースバックを利用しなくても生活保護を受けられる可能性はあります。
豪邸のような自宅の場合、生活保護を受けるためには売却が指導されることも多いため、リースバックも選択肢の一つです。
一般的な自宅に住んでいる人であれば、生活保護のためにリースバックを利用しなければならないケースは少ないといえます。
誤解してリースバックを利用してしまう前に、まずは必ず自治体の生活保護の窓口に相談しに行くようにしましょう。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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