マンションをリースバックした後の修繕費や管理費や修繕積立金について
リースバックを行うと、マンションの所有者は借主へと立場が変わります。貸主と借主の権利義務の関係は、リースバックでも一般の賃貸物件と同じです。
一般の賃貸物件では修繕義務は貸主にあるように、リースバックでも修繕義務は貸主(リースバック会社)にあります。
その他、修繕積立金や管理費の支払い義務も貸主であるリースバック会社へ移転します。
リースバックでは、修繕費やその他の費用の負担区分にはどのようなルールがあるのでしょうか。
そこで今回の記事では「リースバックの修繕費や管理費や修繕積立金」について解説します。
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リースバックとは?今注目されている理由について
近年、高齢者を中心にリースバックの利用者が増えています。
- リースバック
- リースバックとは、今の家をリースバック会社に売却し、その後、リースバック会社から家を借りることで今の家にそのまま住み続けられる売却方法です。
リースバックは、売却によってまとまった現金を得ることができる点がメリットになります。
高齢世帯を中心にリースバックが注目されている背景として、老人ホームへの入所待ちに使われることが多いことが挙げられます。
老人ホームへは、入所のための一時金が必要です。
人気のある老人ホームはなかなか空きが出ないため、いつ入れるかわからないといった事情もあります。
リースバックを使えば、売却によって入所のための一時金を確保しておくこともできます。
自宅は既にリースバック会社に売却している状態であることから、老人ホームに空きが出ればいつでも引っ越しができ、希望する老人ホームへ入りやすいです。
一方で、リースバックを使わずに老人ホームの入所待ちを行うと、希望の老人ホームに入りにくくなります。
一般的に不動産の売却は4~6ヶ月程度の時間がかかるため、空きが出てすぐに現金を用意するようなことができません。
売却活動期間中に、希望していた老人ホームの部屋を他の人に取られてしまいます。
通常の売却によって一時金を捻出する方法では希望の老人ホームに入所しにくくなるため、リースバックを使った方が都合は良いのです。
その他、リースバックは、例えば子供たちと一緒に住む目的で二世帯住宅を建てるときに、建築資金を捻出するために利用されるケースもあります。
子供と共同でお金を出し合って二世帯住宅を建て、竣工するまでリースバックを使って元自宅で住むといった利用がされることがあります。
このように、高齢世帯には老人ホームの入所一時金や二世帯住宅の建設等、まとまった資金が必要となるケースがあります。
昨今は、高齢社会によって高齢世帯が増えてきました。
リースバックは高齢世帯との相性が良く、高齢世帯が増えてきたことから自然とリースバックの利用者も増えてきたのです。
リースバックの概要や高齢者のリースバック利用などについては以下の記事で詳しく解説しています。
次にリースバック後のマンションの費用負担について見ていきましょう。
リースバック後のマンションの費用負担
リースバックを利用すると、売主(元所有者)は借主、買主(リースバック会社)は貸主となります。
所有権は売主からリースバック会社に移るため、いままで所有者として負担していた費用の支払い義務もリースバック会社に移転します。
費用負担の考え方は、分譲マンションを賃貸に出した場合と同じです。
リースバックだからといって、特別なルールが適用されるわけではありません。
この章では、リースバック後のマンションの費用負担について解説します。
管理費
管理費とは、マンション管理組合が日常的に共用部を維持していくために所有者から徴収する金銭のことです。
管理費の支払い義務者は、マンションの管理組合員である所有者となります。
リースバックをすると、売主(元所有者)は所有者ではなくなるため、マンションの管理組合から離脱します。
その代わりとして、リースバック会社が新しくマンションの管理組合員となります。
リースバック後はマンションの区分所有者、かつ、管理組合員はリースバック会社となるため、管理費の支払い義務者はリースバック会社へ移転します。
修繕積立金
修繕積立金とは、マンション管理組合が将来行う共用部の修繕に備えるために所有者から徴収する金銭のことです。
修繕積立金の支払い義務者も、管理費と同様にマンションの管理組合員である所有者となります。
リースバックによって、所有権が売主からリースバック会社に移転すれば、修繕積立金の支払い義務者はリースバック会社になります。
管理費や修繕積立金が払えない場合については以下の記事で詳しく解説しています。
固定資産税
固定資産税および都市計画税は、1月1日時点の不動産の所有者に課される税金です。
リースバックを行った場合、所有権はリースバック会社に移転するため、固定資産税および都市計画税の負担者はリースバック会社になります。
固定資産税および都市計画税の納税義務者は1月1日時点の所有者であることから、厳密には翌年の1月1日以降に納税義務者が移転します。
ただし、不動産の売買では引渡日以降の固定資産税と都市計画税の負担を新所有者(買主)に移転するために、固定資産税の精算を行うことが一般的です。
固定資産税の精算とは、売却した年の引渡日以降の固定資産税や都市計画税の日割り計算した額を、買主から売主へ支払って税負担を調整することを指します。
固定資産税の精算は義務ではありませんが、リースバックにおいても実施されることが多いです。
例えば、固定資産税が年間で12万円だった場合、4月1日に引渡をしたら残りの9か月分の固定資産税である9万円を買主が売主に払うことで税負担を買主へ移転します。
固定資産税の精算をすることで実質的な税負担は買主へ移転しますが、売却した年は引渡日以降の固定資産税の納税義務者は引き続き売主のままとなります。
理由としては、税当局が認識している納税義務者は、あくまでも1月1日時点の不動産所有者だからです。
固定資産税の納税は、4月と7月、12月、翌年の2月の4期にわかれていることが一般的となっています。
リースバックを行った年は、翌年の2月まで支払う固定資産税の納税に関しては、あくまでも売主(元所有者)が引き続き行うということです。
駐車場代
マンションの場合、リースバック後に駐車場を借りることができるかどうかは、マンションの管理組合の方針によります。
分譲マンションでは、借主に貸してくれる物件もありますが、借主には貸さない物件もあります。
借主に貸さないマンションの場合には、そもそもマンション内の駐車場を借りることはできません。
個人的に外部の月極駐車場に借りる場合は、借主が月極駐車場代を負担することになります。
一方で、借主に駐車場を貸してくれるマンションの場合には、借主が直接駐車場代を払うケースもあります。
駐車場はマンションによって貸し出し方針や賃料負担者が異なるため、マンションごとに確認することが必要です。
修繕費
賃貸物件の修繕義務は、基本的には貸主にあります。
つまり、修繕費は貸主(リースバック会社)が負担するということです。
基本的に、自分の資産が壊れたら所有者がお金を払って修繕を行います。
賃貸物件も同じであり、自分の物件が壊れたら所有者である貸主が修繕することが必要です。
リースバックでも所有権は売主からリースバック会社に移転するため、修繕費は貸主が原則として負担することになります。
一方で、賃貸物件には原状回復という考え方が存在します。
- 原状回復
- 原状回復とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、借主の故意(わざと)・過失(うっかり)、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することです。
簡単にいうと、返すとき(退去するとき)は借りたときの状態にして戻すということですが、元に戻さなければいけないものは借主の責めに帰すべき事由(帰責性)により損傷させたもののみが対象となります。
たとえば、借主がわざと壁を壊した場合には、借主が修繕をしなければならないということです。
一方で、例えば、老朽化によって自然と壊れてしまったものに関しては貸主(リースバック会社)が修繕をする必要があります。
ただし、経年劣化や通常損耗の部分を貸主が修繕負担をしなければならないのは、あくまでも原則論です。
例外的に賃貸借契約で一定の要件を満たす特約を締結すれば、借主(元所有者)に経年劣化や通常損耗に関しても修繕負担を負わせることは認められています。
一定の要件を満たす特約とは、以下のような要件となります。
借主に経年劣化部分等の修繕を負わせることができる特約の要件
- 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
- 借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
- 借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
リースバックの賃貸借契約においても、上記のような要件が備わっている場合には、経年劣化等も借主が修繕しなければならないことになります。
リースバックの修繕費の負担は常にリースバック会社にあるとは限らず、結論としては「賃貸借契約書の内容による」ということです。
経年劣化や通常損耗の部分の修繕費を負担したくない場合には、リースバックの契約時に条件の変更を申し出る必要があります。
なお、原状回復の原状とは、リースバックの賃貸借を開始した時点の状態のことです。
リースバックを行う以前に壊れていたものは、それが原状であるため、原状の時点で壊れていたものに関してはいずれにしても借主は修繕する必要はありません。
原状回復に関しては、一般の賃貸物件であっても貸主と借主の間でトラブルになりやすいところです。
原状回復のトラブルを避けるには、原状の状態を明確にしておくことがポイントとなります。
リースバックを行う時点において、家の中の写真をしっかり撮っておき、原状の状態をリースバック会社と共有しておくことがトラブルを防ぐ対策となります。
電気・ガス・水道代
電気・ガス・水道代は、マンションの所有とは関係なく、利用者が直接電気会社やガス会社等に契約するものです。
所有者であろうが、借主であろうが、そこに居住している人が契約して費用を負担します。
リースバックの場合、売主は元々電気会社やガス会社、水道局等と直接契約をしている状態であることが通常です。
リースバックでは引っ越すわけではないので、電気会社等との契約はそのまま残ります。
つまり、電気・ガス・水道代の負担者は、そのまま借主(元所有者)であり、引き続き電気・ガス・水道代の負担は借主が継続することになるのです。
電気・ガス・水道代を借主が負担することは、一般の賃貸物件でも同じになります。
火災保険
火災保険は、建物と家財の2種類があります。
建物の火災保険は、マンションの専有部の不動産を対象とした保険です。
家財の火災保険は、建物内にある生活用品全般を対象とした保険となります。
分譲マンションを購入し所有者がそのまま住む場合には、所有者は建物と家財の両方を付保することが通常です。
一方で、賃貸物件の場合には、火災保険の付保の負担区分が異なります。
賃貸物件では、建物は貸主、家財は借主が付保することが一般的です。
リースバックをすると、賃貸物件と同じ状態になるため、建物の火災保険は貸主(所有者)であるリースバック会社が付保することになります。
家財に関しては借主が付保しますので、今まで家財の火災保険を付保していれば家財の部分だけは継続して付保します。
なお、火災保険に関しては、保険料を安くするために複数年一括契約をしている人が多いです。
複数年一括契約をしている場合には、契約期間中に解約をすると残存期間分の保険料が返戻金として戻ってきます。
リースバックをした際は、建物部分の火災保険を忘れずに解約することが注意点です。
また、賃貸の場合、借主は「家財」の他に「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」の加入を求められることもあります。
- 借家人賠償責任保険
- 借家人賠償責任保険とは、貸主からの損害賠償請求に備えるための保険のことです。
借主の故意や重大な過失によって物件を失火させてしまった場合、借主は貸主から損害賠償請求をされることがあります。
借家人賠償責任保険は、借主が原因による火災に備えるための保険ということです。
- 個人賠償責任保険
- 個人賠償責任保険とは、階下に水を漏らしてしまった場合に備える保険になります。
マンションの場合、例えば洗濯機ホースが外れて階下へ漏水事故を発生させてしまう可能性があります。
個人賠償責任保険は、階下の住人等から損害賠償請求を受けたときに備えるための保険です。
リースバックで借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険の加入まで求められるかは、貸主(リースバック会社)のスタンスによります。
一般的な賃貸物件であれば借主が借家人賠償責任保険と個人賠償責任保険に加入することを求められることは通常ですので、仮にリースバックで加入を求められても過度な要求ではないといえます。
リースバックならスター・マイカの「マンションリースバック」
ここまでリースバック後の管理費や修繕積立金などについて解説してきました。
スター・マイカは、過去10年以上にわたるリースバック取引実績と、豊富な賃貸管理実績を持っており、東証プライム上場企業(2975)の「スター・マイカ・ホールディングス」を親会社としています。
さらに、首都圏・関東圏を中心に中古マンション買取に関する豊富な経験を持ち、2023年現在で3,900室を超える不動産管理ノウハウを有しています。
そこで最後に、スター・マイカの「マンションリースバック」についてご紹介します。
スター・マイカのリースバックのポイント
- 中古マンション保有戸数業界No.1だから、他社にはない柔軟な賃料と賃貸借期間で契約が可能です。中古マンション事業を営む上場企業各社の最新決算情報(2023年11月期末時点)に基づく当社調べによります。
- マンション専門に10年以上にわたる豊富な実績があります。
- 警備会社と連携した高齢者向け見守りサービスも提案しています。
スター・マイカは、リノベーションマンションの販売とともに、たくさんの賃貸マンションを保有することで安定したバランスの良い収益を得ています。
そのため、短期間のリースバックのご相談にも、長期間のご相談にも最適なご提案が可能です。
マンションでリースバックをするなら、マンション専門のスター・マイカへお任せください。
まずは、査定依頼フォームにお問い合わせいただければ、賃料と買取価格をご提示いたします。
リースバックに関するご質問もお気軽にお問い合わせください。
マンションのリースバックでよくある質問
この章では、マンションのリースバックでよくある質問について解説します。
マンションのリースバックでよくある質問
- マンションのリースバック後の家賃はどう決まりますか?
- リースバックしたことをマンション内の住民に知られることはありますか?
マンションのリースバック後の家賃はどう決まりますか?
リースバックの家賃は、売却価格に連動する形で決まることが一般的です。
リースバックの年間家賃の相場は、売却価格の6~13%となります。
立地条件等の良い物件であれば6%に近く、立地条件等の悪い物件であれば13%程度に近いイメージです。
一方で、リースバックの売却価格は市場価格の70~90%程度となります。
立地条件等の良い物件であれば市場価格の90%に近く、立地条件等の悪い物件であれば市場価格の70%程度に近いイメージです。
標準的な物件であれば、売却価格は市場価格の80%程度で、年間家賃は売却価格の10%程度となります。
リースバックの買取価格と家賃相場については以下の記事で詳しく解説しています。
リースバックしたことをマンション内の住民に知られることはありますか?
リースバックは売主がそのまま住み続けているため、一般的にはリースバックが行われたことを他人には知られにくいです。
マンションの場合でも、基本的には隣近所の人にはリースバックをしていることはわからないといえます。
ただし、たまたまマンションの管理組合の理事をしている場合には、リースバックをすると理事を辞めることになるため、少なくとも理事の人たちには知られてしまう可能性はあります。
マンションの管理組合は、所有者で無くなれば居住者(借主)であっても離脱することになります。
管理組合の理事は、管理組合員である所有者の中から選ばれますので、理事を担当している期間であればマンション内の住民に知られてしまう可能性はゼロではありません。
まとめ
リースバックの修繕費について解説してきました。リースバックの費用負担の考え方は、基本的に一般の賃貸物件と同じです。
借主に帰責性がある損耗等以外の修繕負担は、貸主(リースバック会社)となります。その他、管理費や修繕積立金、固定資産税等も貸主の負担です。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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