リバースモーゲージの問題点とは?利用する前に押さえたいポイント
リバースモーゲージという住宅担保型ローンが注目され始めています。
自宅を担保にして老後の生活資金を借りられる高齢者向けローンです。
欧米では、すでに50年以上の歴史がありますが、日本では2013年頃から大手都市銀行が参入。
その後、地方銀行でも積極的に取り扱うようになりました。
高齢化を背景に、利用したいという高齢者も増えてきています。
とはいえ、リバースモーゲージという名前は聞いたことがあるけど、どんな仕組みか知らない、という人がほとんどだと思います。
ここでは、リバースモーゲージのメリットと問題点について、利用する前に押さえたいポイントとあわせて解説していきます。
リバースモーゲージの利用を検討する前に、自宅を売却して現金化し、今の家から引越すことなく賃貸物件として住み続けることができるリースバックの利用も検討してみましょう。
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リバースモーゲージが注目される理由とメリット
リバースモーゲージとは、持ち家を担保に老後の生活費などを借り入れ、死亡後に持ち家を売却し、融資金を返済する制度です。
返済方法は金融機関や商品によって異なりますが、毎月の返済が不要、金利分だけなど月々の支払いが少なく、契約後も自宅に住み続けられるのが魅力となっています。
この章では、リバースモーゲージが注目される理由と、リバースモーゲージの主なメリットについてご説明します。
リバースモーゲージが注目される理由
リバースモーゲージが注目される背景には、いくつかの要因があります。
少子高齢化によって、社会保障制度の崩壊が危惧されていることはご存知の通りです。
保険料を負担する現役世代が減る一方、年金や医療を受ける高齢者が増えているため、年金や医療保険制度をこのまま維持することが難しくなっています。
制度を維持するためには、年金の支給開始年齢の引き上げや、医療保険での自己負担割合のアップなども避けられない状況です。
生活費としての年金については、2019年度における平均年金月額は、厚生年金では平均で14万6,162円、国民年金の場合は5万6,049円となっています。
出典:厚労省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2019年)
国民年金のみを受給している高齢者は少なくなく、結果として高齢者世帯の生活保護受給者が増加している状況にあります。
また、厚労省によると、高齢者世帯は、2016年から2018年の約2年間で5万世帯も増加しています。
こうした老後の生活に対する不安材料が、リバースモーゲージに関心を向かわせているといえるでしょう。
リバースモーゲージの主なメリット
あらためて、リバースモーゲージのメリットを整理してみましょう。
まず、融資を受けるに当たり自宅を引越しする必要がありません。
これは、年金収入や手元資金が少なく住み替えが難しい場合に有効であることはいうまでもありません。
もう一つは、契約時の収入要件など、査定基準が住宅ローンに比べて厳しくないということがあります。
リバースモーゲージの基礎知識については、こちらの記事もご覧ください。
リバースモーゲージの主な問題点
自宅があっても生活資金に不安がある高齢者にとっては、いいことづくめのように思えますが、果たしてメリットばかりなのでしょうか。
実は、リバースモーゲージには、不安材料もあります。
ここでは、5つの問題点を指摘しておきましょう。
リバースモーゲージの主な問題点
- 長生きした場合にリスクが発生する
- 不動産価値が大幅に下落すると担保割れのおそれがある
- 金利上昇のリスクが発生する
- マンションは対象外となる可能性がある
- 自宅売却が前提となっている
- 借入金の使い道が限定されている場合が多い
- 法定相続人とのトラブルになりやすい
- 子どもの同居は条件として認められない場合が多い
1.長生きした場合にリスクが発生する
そもそも、リバースモーゲージとは、「リバース(逆の)」と「モーゲージ(住宅ローン)」を組み合わせた言葉です。
通常の住宅ローンでは、返済するたびに借入残高が減っていきますが、リバースモーゲージでは生活資金を借り入れるたびに逆に借金が増えていくということを意味しています。
借り入れる期間が長くなると、借金である債務額が査定額を超え、融資が停止する可能性もあります。
返済できない場合は、担保として設定している抵当権が実行され、強制的に競売にかけられてしまいますから、家を失うリスクがあります。
結果として生活が危ぶまれる状況に陥ってしまうことにもなりかねません。
2.不動産価値が大幅に下落すると担保割れのおそれがある
リバースモーゲージが担保として重視しているのは「土地」です。
契約期間中に、その不動産評価額が大きく下がってしまうリスクは否定できないでしょう。
担保割れになると、融資額が少なくなる可能性があり、場合によっては、融資が止まるおそれもあります。
3. 金利上昇のリスクが発生する
リバースモーゲージは、変動金利型のサービスが多いです。
景気の状況によって金利が上がると、当初想定よりも融資額が減ったり、月々の返済額が膨らむ可能性があります。
ここ数年は低金利が続いている状況ですが、金利上昇によるリスクは大きいと言えます。
4.マンションは対象外となる可能性がある
前述したように、リバースモーゲージは建物が建っている土地をメインに不動産評価額を決定するのが一般的です。
建物部分はあまり評価されません。
融資の対象を土地とセットになった一戸建てを保有している人に限定し、マンションの場合は対象外とする商品が少なくないのが現状です。
一部の金融機関では、対象とするところもあるものの、条件は当然、厳しくなります。
まず、資産価値が下落しにくいマンションであることが求められます。
人気エリアにある立地が良いマンションで築年数が比較的浅く、専有面積が広い物件などに限定されるといってよいでしょう。
5.自宅売却が前提となっている
リバースモーゲージは、債務者が死亡した後に自宅を売却することが条件となっています。
つまり、相続財産として残らないわけです。
家族と一緒に暮らしていた場合、残された遺族の住む家がなくなる可能性があります。
こうしたことから、将来、相続人になる親族(推定相続人)全員の同意が得られないと利用できないとする金融機関もあります。
6.借入金の使い道が限定されている場合が多い
リバースモーゲージは、老後の生活資金の確保を目的とした商品が中心となっています。
決められた使途以外では借入金を使えない場合もあります。
7.法定相続人とのトラブルになりやすい
リバースモーゲージは、法定相続人とのトラブルの元になることがあります。
- 法定相続人
- 法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続できる人です。相続人には被相続人の配偶者および被相続人と血のつながりのあった人(血族)がなります。
リバースモーゲージを利用することは、法定相続人に不動産を相続できないことを意味するので、法定相続人とトラブルになりやすいです。
リバースモーゲージの利用を検討している場合、法定相続人に一度相談してみましょう。
8.子どもの同居は条件として認められない場合が多い
リバースモーゲージは、「持ち家」を手放す前提の仕組みのため、単身や夫婦2人のみが利用条件となることが多く、一般的に子どもの同居は認められていません。
将来、子どもとの同居を考えていたり、同居介護を検討しているなら、リバースモーゲージは利用できない可能性が高いです。
リバースモーゲージを利用する前に押さえておきたいポイント
リバースモーゲージを利用する前に押さえておきたいポイントは以下の2点です。
リバースモーゲージを利用する前に押さえておきたいポイント
- 金融機関に相談する
- さまざまな不動産の運用方法を検討する
1.金融機関に相談する
リバースモーゲージは、金融機関の商品によって条件や融資方法、返済方法が異なります。
興味のある商品が見つかったら、取り扱っている金融機関に問い合わせることをおすすめします。
商品ごとのメリット・デメリットを把握するため、いくつかの商品を比較するのがポイントになるでしょう。
2.さまざまな不動産の運用方法を検討する
不動産を現金化する方法は、リバースモーゲージ以外にも多く存在します。
不動産売却、買取、賃貸、リースバックなど、ライフスタイルや目的に合わせた資産の活用方法を検討することが大切になります。
「自宅に住み続けたい」「まとまったお金が必要」「年金以外の収入を確保したい」といったことを希望するのであれば、リースバックがおすすめです。
リースバックとは、自宅を不動産会社に売却し、リース料(家賃)を支払って家に住み続けるという制度です。
リバースモーゲージとの違いとしては、以下の5つを挙げることができます。
リースバックとリバースモーゲージの違い
- 年齢制限がないこと
- マンションでも可能なこと
- 現金化した資金の使途は自由なこと
- 将来的な担保割れのリスクがないこと
- 買戻しができる可能性があること
リースバックについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
住まいの悩みを解決する「マンションリースバック」
リバースモーゲージのデメリットを補う方法として、リースバックをご紹介しまた。
リースバックを行う際は、信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。
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まとめ
リバースモーゲージのメリットと問題点について、取り上げました。
高齢化を背景に、不動産を持ちながら、生活資金に不安を持つ高齢者に人気がある一方、多くの問題点をかかえていることもご理解いただけたのではないでしょうか。
金融機関だけでなく、家族ともよく話し合ったうえで、商品を比較検討して利用していくことが重要です。
また、現金化という方法には、ほかにも選択肢があることを覚えておきましょう。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
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