本当は怖い委任状による不動産売却!代理人に売買を依頼する書類を作成する上の注意点
代理で不動産を売却する場合、委任状を用います。
代理権を与えるということは、その相手に判断の権限まで与えてしまうことになるため、実は大きなリスクを伴います。
不動産売却の委任をしようと考えている方は、どこに注意したら良いのか、どんなリスクがあるのか、親名義の不動産を売却したい場合はどうすれば良いのかなどが気になっているかもしれません。
そこで今回の記事では、「委任状による不動産売却」にフォーカスし、委任状による不動産売却ができるケースとできないケース、委任状作成時の注意点などを解説します。
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目次
代理人による不動産売却のリスク
この章では、代理人による不動産売却にはどのようなリスクがあるのか解説します。
代理人による不動産売却のリスクは、売主・買主の双方に存在します。
代理とは、本人に代わって他人が法律行為をすることですが、その効果は本人におよびます。
代理には本人から委任されたことを明らかにする顕名(けんめい)行為が必要であり、顕名のための証明書が委任状になります。
売主のリスク
売主のリスクは、代理人に判断の権限も与えてしまうという点です。
代理人は、本人に成り代わって法律行為をするため、本人の代わりに判断することができます。
代理の例として分かりやすいのが、未成年者の親です。
親は未成年の子供の法定代理人となります。
例えば、幼稚園児が契約当事者となった場合、代理人である親が条件交渉を行い、子供本人の確認を得ることなく、全て判断して契約を締結できます。
このように、代理人は本人に成り代わって全てを行うことができる権限を持っています。
不動産売却における委任状による代理の場合も、本人と代理人との関係は基本的に幼稚園児と親の場合と同じです。
代理と似たような意味の言葉として「使者」があります。
しかし、使者は代理人とは異なり、一つ一つ本人に確認を取りながら手続きを行わなければなりません。
例えば、不動産の金額を4,000万円から3,900万円に下げてほしいと言われた時、使者は本人の意向を確認する必要があります。
それに対して、代理人は本人に確認せず、その場で値引きを判断できます。
このような代理人と使者の違いを理解しておきましょう。
買主のリスク
買主のリスクは、その代理人が、本当の代理人であるかどうか分からないという点です。
仮に「私はAさんの代理人です」と言う人が現れても、委任状が偽造されている可能性もあり、本当かどうか分からないというリスクがあるでしょう。
代理人による売買では、お金を支払う買主のほうが売主よりも高いリスクを負っていると言えます。
つまり、買主には騙されるリスクがあり、代理人による取引には慎重に対応しなければなりません。
そのため、買主は代理による売買の際、必ず本人の意思確認を行う必要があります。
委任状で不動産売却ができるケース
では、委任状で不動産売却ができるのはどのような場合なのでしょうか。
この章では、委任状で不動産売却ができるケースについて解説いたします。
委任状は、代理人であることを顕名する書類です。
委任状で代理権を与えた代理人のことを「任意代理人」と呼びます。
それに対して、未成年者の親権者や成年後見人など、法律の規定に基づいて定められた代理人を「法定代理人」と呼びます。
任意代理人に対しては、委任状だけで代理権を与えることができるため、比較的簡単な手続きとなります。
委任状で不動産売却ができるケースは、本人が何らかの理由で売買契約に立会えない場合です。
例えば、本人が突然入院した、遠方に住んでいる、どうしても外せない仕事が入ってしまったなど、何らかの理由で売買契約に立会えないことがあります。
そのような場合、基本的には親族が代理人となり対応します。
代理人による売買が可能なケースは、極めて限られています。
代理人が契約者となる場合、一番不安を覚えるのは買主でしょう。
買主は騙されるリスクがあるので、代理人による売買と分かった段階で、契約を取りやめることもあり得ます。
そのため、代理人による売買契約となる場合は、あらかじめ買主側に伝えておくことが重要です。
その上で、本人確認ができる時間を確保しておく必要があります。
参考情報として、委任状を使って不動産売却を行うケースについてお伝えします。
委任状で不動産売却を行うケース
- 売却物件が遠方にある場合
- 取引をおこなう不動産が遠方の場合
- 契約のための時間が確保できない場合
- 所有者が複数いる場合
- 契約のために時間を作ることが難しい場合
- 契約手続きに不安がある場合
- 共有持分となっている不動産の売却の場合
ここまで委任状で不動産売却ができるケースについて見てきましたが、次に委任状では不動産売却ができないケースについてお伝えします。
委任状では不動産売却ができないケース
次にこの章では、委任状で不動産売却ができないケースについて解説しましょう。
委任状で不動産売却ができないケースは、認知症や精神障害などにより、本人の判断能力に問題がある場合の不動産売却です。
本人の判断能力が低下していると見られる場合は、任意代理人ではなく、成年後見人などの法定代理人が代理を務めなければなりません。
委任状は偽造できてしまうので、本人が認知症などを抱えているケースでは、代理権が本人の意思を反映したものかどうか分かりません。
そのため、本人の判断能力が低いとされる場合、委任状による売却は無効であり、法定代理人が契約を行うことになります。
ここまで委任状では不動産売却ができないケースについて見てきましたが、次に不動産売却で代理人に依頼する際の必要書類についてお伝えします。
不動産売却で代理人に依頼する際の必要書類
不動産売却で代理人に依頼する際の必要書類は主に以下の通りです。
不動産売却で代理人に依頼する際の必要書類
- 代理権委任状
- 委任者(所有者本人)の印鑑証明書(3か月以内のもの)
- 委任者(所有者本人)の実印
- 委任者(所有者本人)の住民票
- 代理人の印鑑証明書(3か月以内のもの)
- 代理人の実印
- 代理人の本人確認書類(運転免許証などの写真付き身分証明
売却時に必要な書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
ここまで不動産売却で代理人に依頼する際の必要書類について見てきましたが、次に委任状作成時の5つの注意点についてお伝えします。
委任状作成時の5つの注意点
では、実際に委任状を作成する際には何に注意すれば良いのでしょうか。
次にこの章では、委任状作成時の注意点について解説いたします。
委任状は、特に決まったフォーマットがあるわけではありません。
委任状の作成時は、主に5つの注意点があります。
委任状作成の注意点
- 委任内容を明確にすること
- 実印で押印すること
- 捨印は押さないこと
- 「一切の件」という表現は使わないこと
- 住所も記載すること
それぞれ見ていきましょう。
1.委任内容を明確にすること
委任状には、「売買価額」「手付金の額」「引渡しの予定日」など、契約書に記載されている売却条件を全て明記し、代理人に判断の余地を与えないことが重要です。
「売買契約書記載の通り」といったあいまいな記載をしてしまうと、もし売買契約書が書き換えられた場合、全ての内容が置き換わってしまいます。
たとえ面倒でも、売買契約書に記載してある「売買価額」や「引渡しの予定日」などは、全て正確に転記してください。
何を委任しているかについて内容を明確にし、代理人がそれ以外のことをできないようにしておきます。
2.実印で押印すること
委任状には実印で押印しましょう。また、印鑑証明書と住民票も添付します。
もし本人が実印を作っていない場合、作るようにしてください。
実は、委任状は認印でも有効ですし、印鑑証明書の添付も必要ありません。
しかし、三文判を捺した委任状は、買主に対してマイナスな印象を与えてしまいます。
委任状は簡単に作成できますが、三文判の委任状だと、買主に「本当にこの人は代理人なのだろうか」という不安を与えてしまう恐れがあるでしょう。
そのため、通常は実印で押印し、印鑑証明書と住民票も添付します。
3.捨印は押さないこと
委任状には、捨印を押さないようにします。
捨印とは、委任事項の訂正に備えて、あらかじめ書類の上部や左右の空白部分に押印することです。
あらかじめ訂正に備えるという目的があるため、捨印を押してしまうと、委任状の委任事項に新たな内容を付け加えることができてしまいます。
代理人がその場で大きな変更をすることも可能になってしまうため、捨印は絶対に押してはいけません。
4.「一切の件」という表現は使わないこと
委任状では、「一切の件」という表現は使わないように注意しましょう。
委任事項の最後に「その他○○に関する一切の件」と記載している委任状もありますが、このように代理人の権限の範囲をあやふやにする表現は使ってはいけません。
他の委任事項を細かく規定したとしても、「一切の件」という文章を加えると、代理人がほとんどの事項を行えるようになってしまいます。
委任状には、「上記条件に定めのない事項および上記条件の履行に変更が生じるときは、その都度甲(本人)・乙(代理人)協議して定める」と記載しておき、変更が生じた場合に代理人が勝手に判断できないようにしておくことがポイントです。
5.住所も記載すること
委任状には、誰が誰に委任している・されているのか、委任者(本人)と受任者(代理人)を明記しますが、併せて必ず当事者の住所も記載します。
同姓同名の人もいるため、名前だけだと委任者と受任者があいまいになってしまいます。
そこで、名前に加えて住所も記載し、委任者と受任者を特定できるようにしましょう。
必ず本人確認を受けること
代理の売買を行う際は、本人確認が必要です。そこでこの章では、本人確認について解説いたします。
前述の通り、代理の売買で大きなリスクを背負うのは買主であると言えます。
委任状による売買は、影響が大きい割に簡単に手続きができるため、買主は不安を覚えることが多いでしょう。
そこで買主側は、買主本人または不動産会社によって、売主の本人確認を行うのが通常です。
売主としては、必ず本人確認を受けるようにしてください。
代理人による売却の場合、「委任状と本人確認」はセットであることを理解しておきましょう。
また、本人確認の時間を考慮すると、代理人による売却であることを買主に早めに伝える必要があります。
早期売却を目指すなら「買取」がおすすめ
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると首都圏の中古マンションの平均販売期間は約2.7ヶ月(80.1日)となっています。
長期的な観点でも2012年以降、継続して成約価格が11年連続して上昇しているため現在も「売り時」といえるでしょう。
コロナを経て今が売り時であるにも関わらず、平均販売期間の3ヶ月以上が経過しても売却ができていないのであれば、ちょっと焦らなければならないかもしれません。
いつまでも売却できない場合、以下が要因として考えられます。
- 設定している販売価格が高すぎる
- 「築年数が古い」「室内状況が悪い」といった、個人が買主となる「仲介」という売却方法では売りにくい物件である
売却活動を始めてから3ヶ月を超えている場合は、そもそもの販売戦略を間違えている可能性があります。「仲介」から「買取」という売却方法へ切り替えることも検討しましょう。
仲介と買取の違い
買取とは、マンションの売却方法の一種で、一般的な仲介による売却とは異なり不動産会社が直接買主になります。
仲介会社は売主と媒介契約を締結したのち、なるべく高い価格で売却するために顧客への紹介の他、チラシやインターネットによる販売活動を行い、広く買主となる人を探します。
すぐに買主が現れ、高く売れる場合は問題ありませんが、買主が見つからない場合は、販売期間が長期化したり、当初設定した価格を下げざるを得なくなります。
仲介会社が直接購入する訳ではないので、仲介会社の査定は売れる可能性が高い推定の価格です。
一方で、買取価格は買主となる不動産会社が実際に購入可能な価格を提示していますので、場合によっては最短だと数日で契約・決済まで完了させることができます。
スター・マイカでは、独自のデータベースによる正確な査定を行っており、9割超のお取引で最初に査定した価格またはそれ以上の価格で実際に買取を行っております。
実際査定を依頼いただく方の多くが仲介による販売活動を経験し、比較検討されています。
参考に買取価格を知りたいという方もお気軽にお問い合わせください。
最短2時間、遅くとも翌営業日までに査定結果をご連絡させていただきます。
査定依頼はもちろん無料です。
仲介と買取の売却方法の違いを詳しく知りたい方には、こちらの記事で詳しく解説しています。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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