不動産売買契約後から決済までの期間の準備と当日の流れについて徹底解説
不動産の売却では、売買契約から引渡しまで、通常、1~2ヶ月程度の時間が空きます。
引渡しまでの間は、売主は引越しや物件の立会いなど、やることは結構多いです。
また、引渡し当日は極力トラブルを発生させないようにするため、しっかりと準備をして臨む必要があります。
では、引渡し当日の流れや、引渡しまでに行う準備にはどのようなことがあるのでしょうか。
この記事では、売契約完了後から決済までに行うことと、決済日当日の流れについてご説明します。
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不動産の売買契約後から引き渡しまでの期間
不動産の引き渡しの期間は、売買契約後の2~3ヶ月後となることが多いです。
物件の状態によっては引き渡しに6か月以上かかることもあるため、不動産をいつ引き渡すかは、買主と話し合った上で、期日を売買契約書に記載しておきましょう。
次に不動産の引渡しに必要な書類の確認について見ていきましょう。
不動産の引渡しに必要な書類の確認
売買契約が終了したら、引渡しに向けて引渡しに必要な書類を確認します。
引渡しに必要な書類は、大きく分けて「買主へ渡す書類」と「登記に必要な書類」の2種類があります。
買主へ渡す書類は、基本的には売主がすでに保有している書類です。
不動産会社から指示がありますので、手元にあるか確認するようにしてください。
買主へ渡す主な書類
- 登記済証、登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明証
- 固定資産税納付書
- 公共料金の領収証
- 管理規約、パンフレット、建築確認通知書など
また、登記に必要な書類は、所有権移転登記と抵当権抹消登記のために必要な書類です。
登記には、印鑑証明書等の公的書類が必要です。
印鑑証明書は引渡しから3ヶ月以内に発行したものという期限があるので気をつけてください。
また、住宅ローンが残っている物件は、決済の残金入金と同時に抵当権の抹消登記を行います。
- 抵当権
- 抵当権とは、住宅ローンを返済できなくなったとき、優先的に弁済を受けることができる銀行の権利のことです。
抵当権抹消に必要な書類は、借入先の銀行が保有しています。
売買契約が終了したら、速やかに銀行担当者に決済・引渡しのスケジュールを連絡しましょう。
抵当権については、以下の記事で詳しく解説しています。
不動産の決済・引渡しまでに行う準備
この章では、決済・引渡しまでに済ませておくべき引越し、物件の立会い、精算額の事前確認についてご説明します。
引越し
売買契約時点では、まだ家に住んでいる人も、売買契約から引渡しまでの間に引越しをしなければいけません。
引越しにあたって行うこと
- 管理組合からの脱会
- 売却物件の水道、ガス、電気、電話等のインフラの閉栓手続き
- 引越し先のインフラの開栓手続き
- エアコン等の設備の取り外し
- ゴミの処分
引越しでは、エアコン等の設備の取り外しには注意が必要です。買主にエアコンを残すと契約時に言ったのにもかかわらず、引越し会社が間違って外してしまうと後でトラブルになります。
設備は何を残すのかを再度確認し、引越し会社には明確な指示を行うことが失敗を防ぐポイントです。
立会い
引渡しの直前に、売主と買主、不動産会社の三者で物件の立会いを行います。
戸建てや土地の売却では、売主による境界明示を実施します。
越境物がある場合には、越境の確認についても行います。
また、戸建てやマンションの売却では、付帯設備表に記載された設備の状況について一つ一つ確認を行います。
- 付帯設備表
- 付帯設備表とは、設備の有無や不具合状況を書く書類です。
引渡しまでに撤去する場合はその旨も記載します。
付帯設備表に記載されている「有」・「無」・「撤去」について確認し、不具合事項についても実際に動かして確認してもらいます。
さらに、物件状況確認書(通称、「告知書」)の記載内容の確認も行います。
- 物件状況確認書
- 物件状況確認書とは、物件や周辺環境に関する瑕疵(欠陥やキズ)や、修繕履歴や付帯する書類などを買主に伝えるための書類です。
設備の不具合や瑕疵については、正直に買主に伝えることが重要ですので、物件立会いは丁寧に行うようにしましょう。
精算額の事前確認
固定資産税および都市計画税
引渡しでは、一般的に固定資産税および都市計画税の精算を行います。
固定資産税および都市計画税は、固定資産税等と略して呼ばれる場合が多いです。
固定資産税等の納税義務者は、1月1日時点の所有者であるため、その年が終わるまでは売主が納税義務者となります。
そこで、引渡し日以降の固定資産税等を日割り計算した金額を買主から受領することで、実質的な納税負担を買主へ移転するのが固定資産税等の精算金です。
精算金の期日は、売買契約日ではなく、「決済・引渡し日」が基準となります。
管理費等
マンション売却では、管理費や修繕積立金の精算も行います。
精算額の金額は、不動産会社が計算をしてくれます。
金額については、事前にメール等で不動産会社からの確認要請があるのが一般的です。
精算額は事前に確認し、決済・引渡し日は形式的に確認作業をすることになります。
また、マンション売却では、戻ってくるお金として「火災保険料」や「住宅ローンの保証料」があります。
火災保険
火災保険は長期一括契約で加入している場合、解約すると引渡し日以降の残存保険料が戻ってきます。
火災保険は、万が一のことを考慮し、引渡当日まで付保することが一般的です。
保険会社には、引渡し日まで付保することを伝え、残存保険料についても確認するようにします。
住宅ローンの保証料についても、一括で支払っていた人は「戻し保証料」が戻ってきます。
戻し保証料は、決済・引渡し時に住宅ローンを一括返済することで自動的に戻ってくるお金です。
不動産の決済・引渡しの流れ
この章では、決済・引渡しの流れについてご説明します。
流れを知るにあたって、まずは決済・引渡しを行う場所と参加者を確認します。
決済・引渡しの参加者と場所
一般的な決済・引渡しの参加者は以下のようなメンバーになります。
決済・引渡しの参加者
- 売主
- 買主
- 売主側の不動産会社
- 買主側の不動産会社(売主側の不動産会社と同じ場合もある)
- 売主側の銀行担当者
- 買主側の銀行担当者
- 司法書士
決済の場所は、買主が住宅ローンを実行する場合は買主がローンを組む銀行で行うことが多いです。
また、その他の場所としては不動産会社の事務所や司法書士の事務所等で行う場合もあります。
いずれにしても、決済の場所は「売却物件ではない」ことが一般的です。
決済当日の流れ
決済では、売主と買主にそれぞれ行わなければならない債務が課せられています。
当事者 | 債務の内容 |
---|---|
売主 | 所有権移転登記の申請手続きおよび物件の引渡し |
買主 | 売買代金の支払い |
売主と買主の債務は、同時に履行するのが公平の原則にかなうものとされており、これらの債務は決済日の同日に行うのが大原則です。
決済・引渡しは同時履行ですが、実際には「登記申請の手続き」、「残代金の授受」、「目的物の引渡し」の順番で行うのが一般的です。
決済は、万が一のトラブルが生じた場合、その日のうちに対処できるようにするため、午前中に行われることが多いです。
決済当日の流れは以下のようになっています。
それではステップごとに確認していきましょう。
登記申請の手続き
決済・引渡しは同時履行ですが、実際には「登記申請の手続き」、「残代金の授受」、「目的物の引渡し」の順番で行うのが一般的です。
司法書士は委任状と登記原因証明情報を準備していますので、それらの書類に署名・押印をします。
- 登記原因証明情報
- 登記原因証明情報とは、登記の原因となった事実又は法律行為とこれに基づき現に権利変動が生じたことを証明する書類です。
また、住宅ローン残債がある場合は、抵当権抹消登記も行いますので、売主側の銀行担当者から抵当権抹消に必要な書類を司法書士が受領します。
さらに、司法書士は買主に対しても本人確認や委任状と登記原因証明情報の署名・押印等、同様の手続きを行います。
買主が新たに住宅ローンを組む場合は、買主側の銀行担当者から抵当権設定登記に必要な書類を受領します。
司法書士は、売主と買主から書類等を受領すると、その場から立ち去り、すぐに法務局に向かって登記手続きを行います。
登記申請の手続きについては、これで終了です。
残代金の授受
司法書士による一連の手続きが終了すると、買主が残代金の支払いを行います。
残代金は、固定資産税等の精算金が加味された金額となるため、1円単位の端数を含む金額となります。
残代金の入金は、近年は振込で行うことが多くなっています。
振込の場合は、着金確認が必要です。
スマホ等で着金確認ができない場合は、例えば配偶者等に銀行に記帳に行ってもらい入金確認をする等の手続きを取ります。
入金が確認できたら、携帯電話等で連絡を取り合って入金があったことを確認します。
振込しても着金までは少し時間がかかりますので、その間は世間話等をして時間を過ごすのが一般的です。
残代金を受領したら領収書に押印を行います。
諸費用の精算
残代金の支払いと同時に、諸費用等の精算を行います。
事前にメール等で精算金額を確認している場合には、数字に変更がないことを確認します。
引渡しでは、各種精算金に対して「精算書および領収書」が用意されていることが一般的です。
金額が間違いなければ、領収書に押印を行います。
書類等の交付
売主から買主に直接渡す書類の交付を行います。
具体的には以下のような書類が売主から買主へ直接引渡す書類です。
マンションの場合に売主から買主へ直接引渡す書類
- 購入の際のパンフレット
- 設備取扱説明書・保証書・アフターサービス基準書
- 管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し
戸建ての場合に売主から買主へ直接引渡す書類
- 建築確認通知書・検査済証・設計図書等
- 実測図・境界確認書
- 近隣との覚書・建築協定
- 設備取扱説明書・保証書・アフターサービス基準書
また、任意で用意する書類としては、建物状況調査結果報告書、既存住宅性能評価書、定期調査報告書、耐震基準適合証明書、固定資産税減額証明書、耐震診断の結果報告書、住宅耐震改修証明書等があります。
書類を渡したら、必ず渡したことを証明する受領書を買主に押印してもらいます。
物件の引渡し
以上、全ての手続きが完了したら、「鍵」を引渡して物件の引渡しとします。
不動産は手で持参できないため、「鍵」を渡すことで引渡しに代えるのが慣習です。
更地の場合は「鍵」がないため、売主と買主で「売買物件引渡確認書」に押印することで引渡しを行ったことにします。
決済後に行う確定申告
確定申告が必要な人は、引渡し後に確定申告を行うことが必要です。
確定申告は、売却した翌年の2月16日~3月15日の間に行います。
確定申告は全ての人が行う必要はありませんが、税金を納める必要がある人と、税金の特例を利用する人は必要です。
マイホームを売却したときの確定申告の必要性の有無を示すと下図のようになります。
確定申告では、以下の書類が必要となります。
特に、「購入時の売買契約書の写し」または「売却物件が注文住宅の場合は建築当時の請負契約書の写し」は、売却後、確定申告が終わるまで保管しておくことがポイントです。
確定申告で必要となる一般的な書類
- 除票住民票
- 売却時の売買契約書の写し
- 購入時の売買契約書の写し
- 売却物件が注文住宅の場合は建築当時の請負契約書の写し
- 媒介報酬や印紙代など金額が分かる書類
- 各特例で必要となる書類
売却全体の流れについて改めて確認したい方は、こちらの記事をご確認ください。
不動産を売却するなら買取を検討しよう
不動産売却を成功させるために重要なのは、適切な売却方法の選択です。
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると首都圏の中古マンションの平均販売期間は約2.7ヶ月(80.1日)となっています。
長期的な観点でも2012年以降、継続して成約価格が11年連続して上昇しているため現在も「売り時」といえるでしょう。
コロナを経て今が売り時であるにも関わらず、平均販売期間の3ヶ月以上が経過しても売却ができていないのであれば、ちょっと焦らなければならないかもしれません。
いつまでも売却できない場合、以下が要因として考えられます。
- 設定している販売価格が高すぎる
- 「築年数が古い」「室内状況が悪い」といった、個人が買主となる「仲介」という売却方法では売りにくい物件である
売却活動を始めてから3ヶ月を超えている場合は、そもそもの販売戦略を間違えている可能性があります。「仲介」から「買取」という売却方法へ切り替えることも検討しましょう。
仲介と買取の違い
買取とは、マンションの売却方法の一種で、一般的な仲介による売却とは異なり不動産会社が直接買主になります。
仲介会社は売主と媒介契約を締結したのち、なるべく高い価格で売却するために顧客への紹介の他、チラシやインターネットによる販売活動を行い、広く買主となる人を探します。
すぐに買主が現れ、高く売れる場合は問題ありませんが、買主が見つからない場合は、販売期間が長期化したり、当初設定した価格を下げざるを得なくなります。
仲介会社が直接購入する訳ではないので、仲介会社の査定は売れる可能性が高い推定の価格です。
一方で、買取価格は買主となる不動産会社が実際に購入可能な価格を提示していますので、場合によっては最短だと数日で契約・決済まで完了させることができます。
スター・マイカでは、独自のデータベースによる正確な査定を行っており、9割超のお取引で最初に査定した価格またはそれ以上の価格で実際に買取を行っております。
実際査定を依頼いただく方の多くが仲介による販売活動を経験し、比較検討されています。
参考に買取価格を知りたいという方もお気軽にお問い合わせください。
最短2時間、遅くとも翌営業日までに査定結果をご連絡させていただきます。
査定依頼はもちろん無料です。
仲介と買取の売却方法の違いを詳しく知りたい方には、こちらの記事で詳しく解説しています。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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