路線価とは?種類や相続税・固定資産税路線価の見方や計算方法と全国地価マップの使い方
「今年の『路線価』日本一は銀座の○○となり、1㎡当たりの価格は○○万円です」
毎年7月から8月にかけて、このようなニュースを目にするという方もいるでしょう。
さて、ここで言われる路線価とは、相続や贈与などで土地の価格を設定する際に、目安として使われるものです。
路線価は、土地売買の相場を調べる際にも活用されます。
今回は、この「路線価」について詳しく解説します。
これから相続や贈与を控えていて路線価について知りたい方は、ぜひご覧ください。
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路線価とは
この章ではまず、路線価とはどのようなものか、基本的な部分を解説します。
- 路線価
- 路線価とは、「道路に面した標準的な宅地1㎡あたりの土地の評価額」を指します。
路線価はいわば道路に付けられた価格です。しかし、土地や家は道路の上にある訳ではないので、「その土地がどの道路に面しているか」を見て土地の相場を確認していきます。
路線価が使われる理由
土地の取引の際は、その土地の「相場」を基準に価格が設定されます。
では、その「相場」自体はどうやって決まるかと言うと、売主や買主の主観が作用することも少なくないのです。
そこで、どちらか一方が不利な価格設定にならないよう、実際の価格を客観的に判断するために、目安として扱われるのが「路線価」です。
路線価と地価公示価格について
客観的な土地の価格の目安として扱われるものには、「路線価」の他に「地価公示価格」というものもあります。
こちらは、国土交通省が毎年3月に公示する土地の価格のことで、土地の価格相場を知る上で「最も精度が高い」と言われており、国土交通省のホームページから確認することができます。
しかし、地価公示価格の難点として、「日本全国すべての土地に対して公示されている訳ではない」ということが挙げられます。
お持ちの土地が対象外だった場合は、地価公示価格から客観的な価格の目安を付けることはできないということです。
その点、「路線価」は日本のほぼすべての道路(公道)に価格が設定されています。
これが「路線価」を見ていくメリットのひとつと言えるでしょう。
路線価の種類
路線価について、もう少し詳しく見ていきましょう。
路線価には、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があります。
相続税路線価
「相続税路線価」とは、相続税や贈与税を算出する際に基準とされる土地評価額です。
毎年7月に、国税庁によってその年の1月1日時点の価格が公表されます。
ちなみに、一般的に「路線価」と省略されて使われる場合は、この相続税路線価を指すことが多いです。
土地の相続や贈与の際に価格を設定する必要がある場合は、相続税路線価を参照します。
相続税路線価は、前述の「地価公示価格」の80%程度をめどに設定されます。
相続税対策のついての記事もありますので、合わせてご覧ください。
固定資産税路線価
「固定資産税路線価」とは、固定資産税を算出する際に基準とされる土地評価額です。
こちらは市区町村(東京都区部では東京都知事)によって定められ、価格は毎年ではなく、原則として3年に1回のペースで見直されています。
新しく一戸建てや土地を購入する前に、その土地の固定資産税がどれくらいになるか確認したいといった場合は、固定資産税路線価を参照します。
固定資産税路線価は、地価公示価格の70%程度をめどに設定されます。
相続税路線価と固定資産税路線価の違いについて比較すると、以下のようになります。
比較項目 | (参考)地価公示価格 | 相続税路線価 | 固定資産税路線価 |
---|---|---|---|
公表元 | 国土交通省 | 国税庁 | 市区町村 (東京都区部では東京都知事) |
目的(主な利用用途) | 適正な地価を形成する | 相続税・贈与税の算出基準 | 固定資産税の算出基準 |
価格水準 ※地価公示価格を基準にした場合 | ― | 地価公示価格の80%程度 | 地価公示価格の70%程度 |
相続税路線価の見方と計算方法
この章では、相続税路線価の確認方法についてご説明しましょう。
相続税路線価を活用して価格相場を出していく場合は、国税庁の運営するサイトの路線価図・評価倍率表を活用します。
1.「路線価図・評価倍率表」にアクセス
まずは「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、計算したい土地の場所をクリックして特定していきます。
地域を特定していくと、下のような地図が表示されます。
2.表示された地図から、路線価を算出していく
ここでは、調べたい地域に面した道路に「31G」など数字とアルファベットが割り振られています。この数値部分が路線価のことです(単位:千円・㎡単価)。
数字の後ろのアルファベットはA〜Gで割り振られ、借地権割合を定めたものですが、通常の計算には使用しませんので、今回は無視して結構です。
「31G」となっている場合は、「1㎡あたり3万1,000円の土地評価になる」ということを意味します。
3.確認した路線価を、×土地面積(㎡)で概算する
相続税や贈与税で扱われる評価額を算出するには、㎡単価に土地面積を掛けます。
仮に土地面積が100㎡である場合は、㎡単価の3万1,000円に100㎡を掛け、310万円と概算できます。
相続税路線価を算出する際の注意点
相続税の評価時など、実際に税理士が路線価を用いて土地の評価額を計算する際は、さらに土地の間口や奥行きの長さ、周囲の環境などを入念に調査し、先ほどの「路線価×土地面積」の計算結果から減額してきます。
つまり、上で概算した相続税路線価が、そのまま公的な価格として利用されるわけではなく、さらに専門(税理士など)の計算も必要ですのでご注意ください。
また、前述の通り相続税路線価は地価公示価格の80%程で、実際の相場より約20%低く表示されます。
相続税路線価で算出した評価額が、そのまま不動産の相場になる訳ではありませんので、こちらも留意しておくと良いでしょう。
固定資産税路線価の見方と計算方法
続いてこの章では、固定資産税路線価の確認方法をご説明します。
固定資産税路線価は、担当の市区町村もしくは一般財産評価システム研究センターのホームページにある、全国地価マップから確認していきます。
1.「全国地価マップ」にアクセス
「全国地価マップ」を開き、「固定資産税路線価等」をクリックします。
利用目的についての同意を促す画面が表示されたら、内容を確認後、「同意」をクリックしましょう。
その後、都道府県・地域(市区町村)を選択していきます。
都道府県を選択
地域(市区町村)を選択
地域を特定していくと、下のような地図が表示されます。
2.確認したい土地部分をクリックし、路線価を算出していく
固定資産税路線価を確認したい土地をクリックすると、画面左側の「詳細情報」の中に「価格(㎡単価)」が表示されます。
ここで表示された価格が、固定資産税路線価になります。
あとは土地面積(㎡)を掛ければ、概算できるということです。
3.確認した路線価を、×土地面積(㎡)で概算する
上の図のケースで、㎡単価は490万円となっています。
確認したい土地面積が100㎡である場合は、この㎡単価に100㎡を掛けた4億9,000万円が、その土地の固定資産税を算出する際の評価額と概算できます。
固定資産税路線価を算出する際の注意点
固定資産税路線価から土地の評価額を計算する場合も、相続税路線価と同様、土地の間口や奥行きの長さを測量し、補正が入ります。
この補正率については各市町村が定めていますので、正確に固定資産税評価額を計算したいという場合は、各市区町村に問い合わせる必要があります。
また、前述の通り固定資産税路線価は地価公示価格の70%程で、実際の相場より約30%低く表示されます。
不動産売買において路線価を活用する際の注意点
相続税路線価と固定資産税路線価は、相続税や贈与税、固定資産税の算出の他、不動産売買の際にも役立てることができます。
この章では、不動産売買において路線価を活用する際の注意点を解説します。
不動産売買において路線価を活用する際の注意点
- 実際の取引価格は路線価や公示価格以上の値段になる
- 路線価からかけ離れた取引価格が成立する場合がある
- 土地の売買を行う際は路線価の概算を把握する
1.実際の取引価格は路線価や公示価格以上の値段になる
多くの場合、実際の取引価格は、路線価や地価公示価格以上の値段になることが多いでしょう。
どれだけ価格が上回るかという基準を挙げるのは難しいですが、相続税路線価を100%とした場合、だいたい120〜140%程が実際の取引における平均的な価格と言えます。
地価公示価格を100%とした場合は、おおよそ100〜105%の取引価格になるケースが多いようです。
2.路線価からかけ離れた取引価格が成立する場合がある
しかし実際の取引価格には、この他にもさまざまな要因が絡んできます。
例えば、売主が家の住み替えや離婚後の財産分与などですぐにお金が必要になった場合や、なかなか買い手が見つからないといったケースでは、取引価格は下がる可能性が高まります。
反対に、人気の高い地区など、購入希望者が多く集まりやすい土地であれば、取引価格は実際の相場よりも上がりやすくなるでしょう。
しかし、このようなケースにおいても、路線価からかけ離れた値段が付けられた場合は、売主・買主の双方に注意が必要です。
売主にとっては、適正価格からかなり低く売却価格が算出される場合が、これにあたります。
買主からすると、実際に安く購入しても、固定資産税が思った以上に高かったということにもなりかねないでしょう。
3.土地の売買を行う際は路線価の概算を把握する
土地の売買を行う際は、その土地の適正価格のイメージを持っておくためにも、路線価の概算イメージを把握しておくことが得策です。
土地や一戸建ての売買では、多くの場合、最終局面で売主と買主間の価格交渉が生じるものです。
その際に、先方の提示する価格が適切かどうか、概算イメージがあれば判断しやすくなるでしょう。
また、固定資産税を計算する場合や、一戸建て・土地を購入または相続・贈与される場合も、事前に路線価を把握しておけば、価格や費用を明確にしやすいと言えます。
不動産売却の流れや注意点についても確認しておくと良いでしょう。
不動産の早期売却は買取の利用がおすすめ
ここまで、路線価について説明してきました。
なかには、すでに売却活動をしているものの売却先がなかなか決まらず、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合は、売却方法を変更する必要があるかもしれません。
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると首都圏の中古マンションの平均販売期間は約2.7ヶ月(80.1日)となっています。
長期的な観点でも2012年以降、継続して成約価格が11年連続して上昇しているため現在も「売り時」といえるでしょう。
コロナを経て今が売り時であるにも関わらず、平均販売期間の3ヶ月以上が経過しても売却ができていないのであれば、ちょっと焦らなければならないかもしれません。
いつまでも売却できない場合、以下が要因として考えられます。
- 設定している販売価格が高すぎる
- 「築年数が古い」「室内状況が悪い」といった、個人が買主となる「仲介」という売却方法では売りにくい物件である
売却活動を始めてから3ヶ月を超えている場合は、そもそもの販売戦略を間違えている可能性があります。「仲介」から「買取」という売却方法へ切り替えることも検討しましょう。
仲介と買取の違い
買取とは、マンションの売却方法の一種で、一般的な仲介による売却とは異なり不動産会社が直接買主になります。
仲介会社は売主と媒介契約を締結したのち、なるべく高い価格で売却するために顧客への紹介の他、チラシやインターネットによる販売活動を行い、広く買主となる人を探します。
すぐに買主が現れ、高く売れる場合は問題ありませんが、買主が見つからない場合は、販売期間が長期化したり、当初設定した価格を下げざるを得なくなります。
仲介会社が直接購入する訳ではないので、仲介会社の査定は売れる可能性が高い推定の価格です。
一方で、買取価格は買主となる不動産会社が実際に購入可能な価格を提示していますので、場合によっては最短だと数日で契約・決済まで完了させることができます。
スター・マイカでは、独自のデータベースによる正確な査定を行っており、9割超のお取引で最初に査定した価格またはそれ以上の価格で実際に買取を行っております。
実際査定を依頼いただく方の多くが仲介による販売活動を経験し、比較検討されています。
参考に買取価格を知りたいという方もお気軽にお問い合わせください。
最短2時間、遅くとも翌営業日までに査定結果をご連絡させていただきます。
査定依頼はもちろん無料です。
仲介と買取の売却方法の違いを詳しく知りたい方には、こちらの記事で詳しく解説しています。
URILABOの運営者
スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時3,000戸以上保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です
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